これから確定申告をする人
『副業とかで稼げたから、今年は確定申告しなきゃ。でも、確定申告には青色申告と白色申告があるって聞いたんだけど、どう違うのか分からない。青色申告は面倒って聞くんだけど、実際のところどうなのかな?』
こんな疑問にお答えします。
こんにちは、税理士のまぐすです。
この記事を書いている僕は、税理士としてBig 4税理士法人でM&Aや組織再編のアドバイザーとして活動し、現在は会計税務アドバイザーとして、富裕層やフリーランス向けに、確定申告や節税スキームなどのアドバイス業務を提供しています。
そんな僕が、今回は個人の所得税の確定申告のうち『青色申告』『白色申告』について解説します。
✓この記事から分かること
・青色申告と白色申告の基礎
・それぞれの違い
・青色申告での節税効果
結論からいえば、青色申告の方をおすすめします。
その理由・ポイントは以下の通りです。
・ 近年の税制改正で手間に差が小さくなった
・ 節税効果は圧倒的に青色申告が有利
なお、確定申告が必要となる基準や、確定申告の基礎についてはこちらの記事にまとめていますので、まずはこちらを確認してみてくださいね。
それでは、解説していきます。
できるだけ簡単に、分かりやすく解説していきますね。
📓もくじ
確定申告の基礎
確定申告には、大きく分けて「青色申告」と「白色申告」の2つの方法があります。
青色申告と白色申告の違いや、その節税効果を説明するために、まずはそれぞれの基礎を解説します。
青色申告とは
青色申告とは、一言で言えば『ちゃんと帳簿を作って取引を管理する代わりに、税務上の優遇が受けられる』というものです。
その特徴をまとめると、以下のとおりです。
・ 優遇税制など税金面での特典あり
・ 税務署に事前申請が必要
・ 複式簿記による帳簿の作成義務
白色申告とは
白色申告とは、税法上は「青色申告以外の方法」とされています。
実は、原則的な申告方法で、特に事前申請などはいりません。
また、求められる帳簿や保存書類が、青色申告に比べてあまり厳しくないというのが特徴です。
ですが、その一方で最大の特徴はこちらです。
・ 税金面での特典がない
・ 税務調査で勝手に税金計算されてしまう可能性がある
✓税金面での特典が得られない
青色申告と反対に、白色申告の場合は〇〇控除などの優遇税制の適用はありません。
税務署側としては『ちゃんと取引を管理していないなら、税金計算もできないから優遇させてあげないよ』というわけですね。
✓税務調査で勝手に税金計算されてしまう可能性がある
白色申告では、それほど大きくは異ならないものの、青色申告ほど帳簿や書類保存を厳しく求められていません。
ただしその分、税務調査があった際に、税務署としては資料がないことが理由で詳しい調査が行えないなどのケースがあります。
そうした場合、税務署は“推定課税”、つまり「ある資料に基づいて勝手に税金計算していいよ」ということになっています。
この場合、一般的には本来の金額よりも高額に計算されがちといえます。
つまり、結局のところは青色申告でも白色申告でも、ちゃんと帳簿を作る必要があるんですね。
そんな人は、こちらのような簡単な帳簿が作成できるクラウドソフトを活用している人がほとんどですよ。
費用も安く、スマホなどで簡単に作成することができるので一度試してみる価値はあると思いますよ。
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青色申告のメリット・デメリット
ここでは、青色申告のメリットとデメリットについて解説します。
青色申告のメリットとは?
1番の特徴といえるのが、多くの税務面でのメリットがあることです。
ただし、何にも管理していない人が自由に税務面でのメリットを利用できてしまうと、ズルいことをする人が出てきてしまうかもしれません。
そこで、『税務面でのメリットを受けたい人は、税務調査の際にもちゃんとチェックできるように帳簿を作ってね!』という制度になったのです。
具体的なメリットについては、後半で詳しく解説しますね。
青色申告のデメリット【ほぼなし】
青色申告の唯一のデメリットと言えるのが、『取引をちゃんと管理しなきゃいけないこと』と言えます。
具体的には、青色申告とするためには、以下の手続きなどが必要になります。
・ 青色申告の申請
・ しっかりした会計帳簿の作成
・ 適切な書類等の保存
これまでは、こうした管理が面倒という理由で青色申告の導入を先送りしていた個人の方も多かったと思います。
ですが、これらのデメリットは、現在ではほとんどないと言えます。
なぜなら、一番手間だった「会計帳簿の作成」が、白色申告でもほぼ同じレベルのものを求められるようになったからです。
税制改正により、2014年1月以降は、青色申告と同様に、帳簿の作成および帳簿等の保存が義務となりました。
これにより、青色申告者とほぼ同じだけの労力がかかるようになったため、最大のメリットはなくなってしまいました。
青色申告の節税効果
ここでは、青色申告を適用した場合に得られる節税効果の内容について解説します。
節税効果①:何もしなくても適用OK【青色申告特別控除】
青色申告を適用している人は、もれなくこちらの控除を適用できます。
この制度を一言で言えば、『税金が課される収入の金額を、65万円もしくは10万円分、減らしてあげるよ』という制度です。
これによって、以下について節税効果が得られます。
・ 所得税
・ 住民税
・ 国民健康保険
そもそも所得税とは、おおまかには以下のような式で求められます。
所得税=(収入-経費-所得控除)×税率
なお、こちらの青色申告特別控除を適用するためには、主に3つの要件があります。
✓65万円の青色申告特別控除の要件
・ 不動産or事業所得がある
・ 複式簿記で記帳している
・ 確定申告に帳簿を添付し、期限までに申告している など
なお、上記に該当しない青色申告を適用している人は、10万円の控除となります。
✓注意点
2018年度の税制改正で、65万円控除を受けるためにはe-Taxによる電子申告(または、電子帳簿保存)が必要になります。
✓節税効果
例えば収入が400万円の場合、税率が20%なので13万円(65万円×20%)の節税効果になります。
青色申告を選択するだけで10万円以上の税金が減らせるので、かなりお得な制度と言えますよね。
※実際の計算はもっと複雑になりますので、金額イメージをとらえる目的で考えてくださいね。
節税効果②:赤字を繰り越せる【損失の繰越控除】
個人事業をはじめたとき、最初の数年は赤字のケースも多いと思います。
こうした場合に活用できるのが、こちらの制度です。
赤字の金額を、翌年以降3年間の所得から差し引ける
また、もし「昨年は利益だけど、今年は赤字だ」 という場合でも、その損失額を前年の所得に繰り戻して控除することで、還付を受けることだってできますよ。
節税効果③:メリット3:家族への給与を経費に【専従者給与】
個人事業を行っている人の中には、一緒に暮らしている奥さんや旦那さん、そのほかの家族にも手伝ってもらっているケースがあると思います。
そうした場合、青色申告を適用していれば、そうした家族に対して払った給料の分だけ収入金額を減らすことができます。
もちろん、減らせる給料の額はいくらでもいいわけではありません。
仕事の内容や日数などから、妥当と認められる金額までになるので注意してくださいね。
なお、こちらを適用するための要件は以下のとおりです。
✓適用要件
3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出すること
これだけです!
しかも、届出に記載する内容は氏名、職務の内容、給与の金額、支給時期など基本的な情報なので、作成するのもそれほど手間じゃありませんよ。
節税効果④:一定の資産が経費に【少額減価償却の特例】
こちらの制度は、値段が30万円未満である少額の資産を、購入時にすべて経費とすることができる制度です。
通常は数年間にわたって経費となる(減価償却)資産の取得価額を、一度に経費とすることができるということです。
✓ 適用要件
以下のいずれかに該当すること
・ 確定申告書に明細を添付
・ 決算書の「減価償却費の計算」欄にこの制度を適用していることなどを記載
これだけです。
節税効果⑤:生活費の一部が経費に【家事按分】
脱サラやフリーランスや個人事業主直後、自分の家をオフィスとして活用する人も多いはず。
そうした場合にかなりの節税効果が期待できるのが、こちらの制度です。
概要は以下のとおりです。
✓ 制度の概要
家事と業務の両方にかかわりがある費用(家事関連費)のうち、業務に関する支払いを経費にできる制度
そして、こちらの制度が青色申告と白色申告でどう違うかというと
白色申告に比べて、青色申告の方が経費にできる範囲がかなり広いんです。
白色申告の場合、業務・仕事の部分の割合が約50%を超える家事関連費だけが対象になります。
一方で、青色申告の場合には、交際費、接待費、地代、家賃や水道光熱費など、多くの支払いについて、50%超などの制限もなく適用することができます。
節税効果⑥:貸倒引当金を計上できる
こちらは、売掛金や貸付金が発生している人が活用できる制度です。
制度の内容は、以下のとおりです。
✓ 制度の概要
事業で生じた売掛金、貸付金などが回収できない損失の見込額を、経費とすることができるという制度
年末の売掛金などの価額の5.5%以下の金額を、貸倒引当金として計上したときは、その金額が必要経費として認められます。
さいごに
おさらいですが、間違いなく青色申告を活用した方がいいです!
白色申告と比べても全く面倒ではありませんよ。
そんな人の多くが、こちらのようなクラウド会計ソフトを使っています。
また、日本の所得税法上、所得が増えれば増えるほど税率が高くなる「累進課税制度」が採用されています。
そのため、収入金額が増えれば増えるほど、その節税効果も増えることになります。
今回の記事では、それぞれの制度をできるだけ簡単に解説しました。
ただし、実際に適用するためには複雑な適用要件などをチェックする必要があります。
そのため、節税効果で減らした費用で、ちゃんと税理士など専門家に見てもらうことをおススメします。
こちらの記事でも解説してますが、最近は個人に対する税務調査も強化されています。
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THE END