法人化を検討している個人事業主
『フリーランスや脱サラして頑張っている周りの人が、「法人化しようかな」とよく言っている。税金も特になるし、いいことばかりって聞くけど、、、きっとデメリットもあるはず。実際どんなどんなデメリットがあるのかな?法人化する前に知っておきたいな』
こんな悩みにお答えします。
✓この記事の想定読者
・個人で事業をやっている人
・起業に興味がある人
・ビジネスを拡大していきたいと考えてる人
こんにちは、税理士のまぐすです。
近年では副業ブームや脱サラブームもあり、個人で事業を行っている人も多くなりました。
そんな人が、いつか悩むであろう「法人化」。この記事では、法人化するメリットについて紹介します。
✓この記事の信頼性
この記事を書いている僕は、税理士として多くの起業家のサポートをしてきました。
国内外で事業を拡大し、法人化を目指す人たちに多くのアドバイスをしてきたので、その経験をもとに、法人化のメリットをまとめています。
もちろん、法人化するメリットもあります。
メリットについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、この記事が読み終わった人は併せて確認してみてくださいね。
それでは、解説していきます。
📓もくじ
個人事業主が法人化するデメリットまとめ5選
個人事業主が法人化するデメリットは、主に以下の5つになります。
デメリット①:設立コストがかかる
デメリット①:赤字でも税金が発生
デメリット②:社会保険への加入が必要
デメリット③:事務手続きが増える
デメリット④:交際費が節税にならなくなる
以下では、それぞれを詳しく解説していきますね。
デメリット①:設立コストがかかる
会社を設立することになるので、当然コストがかかりますよね。
✓必要なコストは最低20万円くらい
株式会社を設立する場合には、最低でも20万円くらいかかります。
最低限の費用の内訳は、以下のとおりです。
内訳 | 一般の定款認証 | 電子定款認証 |
定款印紙代 | 40,000円 | 0円 |
定款認証費用 | 50,000円 | 50,000円 |
登録免許税 | 150,000円 | 150,000円 |
従って、どんな人であっても、法人設立にはだいたい25万~30万程度の費用がかかると思っていた方がいいと思います。
個人事業の場合には、事業開始するために開業届などを税務署等に提出するだけです。
特別なお金は発生せず始められますので、もっと簡単といえると思います。
✓その他にもお金がかかる
上記以外にもお金がかかります。
例えば、代表的なものとしては以下のとおりです。
・資本金
・社印作成
・広告費用
・パソコンやスマートフォン
・ネット環境
・行政書士や司法書士への報酬
これらのお金は、事業の内容や事業戦略によって変わります。
そのため、会社を設立する前にしっかりと検討しておいた方がいいですね。
デメリット②:赤字でも税金が発生
個人の場合、儲け(利益)に対して税金がかかります。
でも、会社の場合には赤字でも税金が必ず発生します。
赤字でも、最低でも毎年7万円の住民税が発生します。
この住民税は「均等割」というんですが、資本金の額や従業員数に応じて決められます。
毎年の税務申告の際に赤字であろうと必ず義務として払わなければなりません。
デメリット③:社会保険への加入が必要
法人化すると、社会保険(健康保険と厚生年金保険)への加入が義務づけられます。
これは、社長一人の会社でも同じです。
社会保険は、一般的には、国民健康保険と国民年金に加入する場合に比べて高くなります。
たとえば、所得が月に40万円の場合を例に挙げてみます。
・個人事業主の場合
国民健康保険料 | 50,000円/月 |
国民年金保険料 | 15,000円/月 |
合計 | 65,000円/月 |
・会社の場合
健康保険料 | 38,000円/月 |
厚生年金保険料 | 64,000円/月 |
合計 | 102,000円/月 |
厚生年金はもらえる年金の額が国民年金に比べて多いため、必ずしも厚生年金の方が損するわけではありません。
ただし、社会保険料は、基本的に給与の支給額に比例して増えるため、給与が高くなればなるほど、従業員数が多くなればなるほど高くなります。
そのため、従業員を雇う場合には社会保険料がかかるということも知っておいた方がいいですよ。
自営業(個人事業)では、一部業種を除き従業員が5人未満であれば従業員の社会保険は任意加入ですので、社会保険料を支払わずに済みます。
ですが、法人化して会社になると社会保険は強制加入となるため、従業員だけでなく経営者も加入しなければなりません。つまり、経営者自身も社会保険に加入となります。
社会保険料とは健康保険料と厚生年金保険料ですが、地域によっても変わりますが労使折半で合計で25%以上はかかるため、人件費が上昇してしまいます。
デメリット③:事務手続きが増える
法人化すると、個人のときと比べてしっかりとした手続き・書類が求められるため、事務手続きが増えます。
✓しっかりした会計帳簿が必要
個人よりも会社のほうが、厳密な会計ルールに従った会計処理がおこなわれねばなりません。
税金の申告でも、個人の所得税よりも、法人税の申告が複雑で、税理士や公認会計士などに依頼する必要が出てきます。
もちろん、自分で出来るという人もいますが、時間と労力、勉強の手間を考えると、専門家に依頼して、その分を本業のビジネスに集中させた方が売上UPに繋がります。
個人の場合でも専門家に依頼する人もいますが、法人の場合の依頼費用の方が一般的には高くなります。
✓会社法などにも従う必要がある
会計帳簿の作成や税金計算だけでなく、会社にすると色んな手続きが必要になります。
例えば、以下のような手続きが必要です。
・株主総会の開催
・取締役会の開催
・役員の選定や変更の登記
「面倒だから、こんな手続きは省いてしまいたいな、、、」
そう思う人もいるかもしれません。
こうした手続きを怠ると、税金で損をしてしまうかもしれません。
特に株式会社の場合、しっかりと会社法に準拠しようとすると議事録の作成なども行わなければならず、それなりに手間がかかります。
ですが、それらの手続きをしなかったり放置したりすると、税金の面で不利益を被ることもあります。
デメリット④:交際費が節税にならなくなる
個人のときと比べ、交際費は制限されることになります。
✓「交際費は使い放題!」は終わる
個人事業主のときは使いたい放題だった交際費。「節税になるから!」といって、接待の都度、領収書をもらっていた人も多いはず。
ですが、法人になると、実はこの接待で使った交際費は、節税にならない可能性があるんです。
実は、法人になるとその資本金の額に応じて、以下の金額が損金(=税務上の経費)にならなくなるんです。
資本金 | 損金にならない金額 |
1億円以下 | 以下のいずれか ① 交際費のうち、飲食代50%部分を除いた金額 ② 年間800万円を超える金額 |
1億円超 | 交際費のうち、飲食代50%部分を除いた金額 |
✓その代わりに使える経費は増える
もちろん、その代わりに経費になる支払いも増えてきます。
例えば「福利厚生費」などをうまく活用すれば、大きな節税効果を得ることができます。
「こんなものも、会社にすれば経費になりますよ!」というものは、こちらの記事にまとめていますので、併せて確認してみてくださいね。
ただし、実際のところ、それが税務調査でOKとなるかの判断は難しい、、、
やはり、取引が多くなったり、自信がなかったら税理士などの専門家にお願いすることをおすすめします。
現在は、顧問料をかなり低く設定した税理士事務所もあるので、以下のサイトに登録して(登録無料です)、あなたにあった税理士事務所を探してみてくださいね。
・税理士ドットコム
・税理士紹介ネットワーク
※リンクをクリックすれば、公式ホームページへとびます。
デメリット④:税務調査が厳しくなる
一般的に、個人の確定申告(所得税)に対する税務調査はそれほど厳しくありません。
その理由は、例えば以下のような理由とされています。
・個人の税金は法人税に比べれば少ないため、税務署としても効率が悪い
・最終的には相続税によって徴収できる
しかし、法人税は違います。
金額も大きくなりますし、適用できる優遇税制も増えます。そのため、個人に比べて法人税の税務調査は厳格に行われる傾向にあります。
税務調査の基礎については、こちらの記事にまとめていますので、併せて確認してみてくださいね。
さいごに
法人化するメリットは、節税や事業規模の拡大など、様々。
一方で、もちろんメリットもたくさんあります。こちらの記事に法人化のメリットを詳しくまとめていますので、併せて確認してみてくださいね。
でも、いずれにしてもまずは今の状況、つまり「儲かっているかどうか」などをしっかりと把握することが大切です。
もし「まだ記帳はしっかりできてないや、、、」という人は、今では以下のようにクラウド会計システムも広く普及されてきてますし、かなり使いやすくなっています。
おすすめ①:【会計ソフトfreee(フリー)】【←経理に自信がない人向け】
おすすめ②:クラウド会計ソフト「マネーフォワード」
おすすめ③:弥生会計オンライン(やよいの青色申告オンライン)【←事業拡大を目指している人向け】
僕がおすすめするクラウド会計ソフトについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、併せて確認してみてくださいね。
また、処理が難しくなったら、無理せず税理士に相談してみましょう。
税務調査は、基本的には過去5年間、さかのぼることができます。
「金額たいしたことないから大丈夫でしょ!」とテキトーに処理してしまっていたものでも、5年間まとめてみると結構な金額になっていることも多々あります。
現在は、顧問料をかなり低く設定した税理士事務所もあるので、以下のサイトに登録して(登録無料です)、あなたにあった税理士事務所を探してみてくださいね。
・税理士ドットコム
・税理士紹介ネットワーク
※リンクをクリックすれば、公式ホームページへとびます。
今回は以上です。