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【個人・副業者必見】クラウド会計ソフトのメリット・デメリットまとめ【現役税理士が解説】

クラウド会計ソフトに興味がある人

『個人で稼いでいるから、ちゃんと経費とかを記録しなきゃ。クラウド会計ソフトって耳にするけど、メリットってどんなことがあるのかな?あと、どんな人におすすめかについても教えてほしい。』

こんな疑問にお答えします。

✓想定読者

・副業やフリーランスなど、個人で稼いでいる人

・これからクラウド会計ソフトを使ってみようか悩んでいる人

・確定申告などで帳簿が必要だけど、どうすればいいか分からないという人

 

こんにちは、税理士のまぐすです。

この記事では、個人で稼いでいる人に向けて、クラウド会計ソフトのメリットとデメリットを紹介していきます。

✓本記事の内容

・そもそもの会計ソフトの種類

・どんな人にクラウド会計ソフトが合っているか

・クラウド会計ソフトのメリットとデメリット

この記事を書いている僕は、税理士としてBig 4税理士法人でM&Aや組織再編のアドバイザーとして活動していました。

現在は会計税務アドバイザーとして、富裕層やフリーランス向けに、確定申告や節税スキームなどのアドバイス業務を提供しています。

✓本記事の信頼性

税理士として多くの個人や富裕層、小規模法人の会計ソフトのサポートをしていただけでなく、クラウド会計ソフト導入のサービスなども行ってきました。

それでは、解説していきますね。

会計ソフトの種類と動向

クラウド会計ソフトを解説する前に、そもそも会計ソフトには大きく分けて2種類あります。

まずは、それぞれの概要を紹介しますね。

種類

会計ソフトには、大きく分けて2種類あります。

・インストール型【これまでの方法】

・クラウド型【最近広まっている方法】

・インストール型

CD-ROMやダウンロードによって、利用するパソコンにソフトをインストールする形式。

基本的には、インストールしたパソコンでのみ利用可能です。

ただし、「インターネットが繋がらない環境でも使える」というメリットもあるため、外出先などで利用する機会のある税理士や会計士の中には、こちらのインストール型を好む人も多いです。

 

・クラウド型

ここ数年で急激に拡大してきた方法でSafariやChromeなどからアクセスし、利用する方法です。

アクセスさえ出来れば、パソコンでもスマホでもタブレットでも、利用が可能です。

主に『簡単な操作がいい』という人や、『何人かでアクセスしたい』という人に選ばれています。

今後どちらが便利になっていくか

税理士として日々会計ソフトを利用している僕個人的には、圧倒的にクラウド会計ソフトの需要が高まっていくと思っています

なぜなら、次々と新しいサービスが展開されてきていて、より便利になっていくと思うからです。

現在は、どのクラウド会計ソフトも「銀行口座との連携」「クレジットカード情報の読み込み」などが中心ですが、今後はほかの可能性もあると思います。

例えば、スマホ決済アプリや請求書データと連携することで、単にそれらで払うだけで自動的に処理してくれるといったことも可能だと思います。

特に、日ごろ似たような取引(例えば、交通費や会議費、売上や仕入など)しかない人からすれば、高いお金を払って難しいシステムを導入する必要はありませんよね。

その場合、やはり利便性の方が求められるのではないかと考えています。

2016年8月のこちらのサイトによれば、株式会社デジタルインファクトがクラウド会計ソフトに関する調査を行い、その結果、全体の8割超がクラウド型会計ソフトの「簡単さ」を重要視しているとのことです。

クラウド会計ソフトが今後重要になってくることが分かっていただけたと思うので、次ではメリットとデメリットを紹介していきます。

クラウド会計ソフトのメリット

まずは、クラウド会計ソフトのメリットについてです。

メリットは大きく分けて3種類あります。

・お得

・便利

・楽できる

ちゃんと帳簿を作っていれば、それだけでかなりの節税ができることがあります。

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ですが、日々記帳するのって面倒ですよね。
クラウド会計ソフトはそれを解決してくれるかもしれません。

それでは、それぞれについて解説していきます。

メリット①:税理士費用を抑えられる【お得】

まず大きいのがコスト面です。

記帳するために必要となるコストは、単純に会計ソフトの購入や利用料だけではありません。

レシートや領収書などの必要な書類を集めたあと、税理士などに預けて帳簿を作ってもらう必要があります。

でも、クラウド会計ソフトなら、会計の知識がない人でも簡単に処理ができるような工夫がされていたり、毎月頻繁に発生する処理であれば、そのソフトが銀行口座などと連携して自動で処理してくれるようになります。

そのため、これまで必要だった税理士への外注費用がなくなるというわけです。

メリット②:税制などのバージョンアップが不要【お得】

これは実は、思っている以上に大切なメリットだと思います。

記帳したあとは、作った帳簿をもとに銀行の融資を受けたり、年明けの確定申告をしたりすると思います。

ですが、税制改正があったらどうでしょうか?

もしインストール型を利用していたら、重要な税制改正があった都度、バージョンアップしていかなければなりません。

それどころか、重要な税制改正があったという事実さえも自分で発見しなければなりませんよ。

その点、クラウド会計ソフトであれば、自動的に税制改正なども反映してくれるので便利、かつ、安心ですよね。

例えば、「カーナビを買ったけど、お金がかかるし面倒だからバージョンアップしていなかったら、道が分からなくなった」なんて経験ありませんか?

それと同じです。

改正があったら自動的にアップデートしてくれるんです。

 

メリット③:場所を選ばずスマホからでもOK【便利】

インストール型の会計ソフトの場合、そのソフトをインストールしたパソコンでしか操作ができません。

一方クラウド会計ソフトなら、それぞれのパソコンやタブレット、スマホなどから操作が可能です。

場所を選ばず、かつ、どのデバイスからでも利用できるので便利です。

また、クラウド会計ソフトなら複数の人が、それぞれのデバイスから利用可能です。

インストール型だと、1つのパソコンにしかインストールしていないと、同時に1人しかできません。

何人かで利用する予定の人にとっては、不便ですよね。

メリット④:すぐに財務状況や損益情報をチェックできる【便利】

クラウド会計ソフトは、パソコンやタブレット、スマホで利用できるので、自分の売上や費用の損益の情報や、キャッシュフローなどを見ることができます。

インストール型の場合、ソフトをインストールしているパソコンがなければそういった情報すら見ることができません。

また、税理士にお願いしている人は、税理士に問い合わせなければいけません。

それに比べると、かなり便利ですよね。

フリーランスや副業がはやり、個人でも稼ぐ時代になった今、個人でもお金の管理が重要になっています。

そのため、気になった時にすぐにチェックできるような環境はおすすめです。

個人のお金の管理が大切になってきているので、簿記や会計の知識の重要性が見直されています。

例えば、こちらの日経新聞の記事「会計の基礎知識(1) PL 企業の稼ぐ力を把握」のように、特集が組まれるほどビジネスパーソンには必須の知識となっています。

例えば、こちらのようなサイトを利用すれば、月額980円でスマホで授業が受けられます。

自分で本を買って勉強するよりも、スキマ時間などを利用して動画で学習するのがおすすめですよ。
日商簿記3,2、経理の仕事に役立つ150以上の動画を学ぶサイト【Accountant’s library】

メリット⑤:バックアップがあるので安心【便利】

クラウド会計ソフトなら、日々の処理がクラウドにバックアップが取られているので、万が一の時にも情報をなくすということはありません。

インストール型だと、インストールしているパソコンをなくしたら終わりです…

また、万が一パソコンやスマホをなくしたとしても、IDやパスワードが必要なので、情報漏洩の可能性も少なくなりますよね。

メリット⑥:データ連携で処理を自動化できる【楽できる】

クラウド会計ソフトなら、銀行口座やクレジットカードと連携させることが可能です。

そうすることで、例えば以下のようなメリットがあります。

・定期的に発生する取引を、自動で処理できる

・「処理が漏れた!」ということがなくなる

・銀行口座の残高とズレることがなくなる

そのため、処理がかなり楽になりますよ。

ただし、注意点もあります。

自動化設定するときに、『確定申告の計算上は本当は経費』なのに経費じゃない設定をしてしまうと、そのあとずっと多く税金を払うことになってしまいます。

特に注意が必要な経費は、こちらの記事にまとめていますが、せっかく自動設定するのですから、損してはもったいないです。

しっかり把握してちゃっかり節税してしまってください。

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クラウド会計ソフトのデメリット

クラウド会計ソフトのデメリットについても触れておきます。

なぜなら、実は僕は、いまでもインストール型の会計ソフトを使うこともあるからです。

 

それでは紹介していきますね。

 

デメリット①:ネット環境が必須

クラウド会計ソフトは、使う都度、クラウドにアクセスして利用することになります。

そのため、インターネット環境にいなければ利用することはできません。

実は、僕が未だにインストール型の会計ソフトも使うことがある最大の理由が、こちらです。

クライアントの会社の場所によってはインターネット環境が悪く、その場でうまく使えないこともあるんです。

とはいえ、本当に特殊なケースのみですけどね。

デメリット②:自動入力機能を使えない取引は不便

特殊なケースでは、現在リリースされているクラウド会計ソフトでは対応していない処理が必要になることがあります。

例えば、以下のような人は注意が必要です。

・急激に規模が大きくなってきた会社

・複雑な金融取引を行っている人

こうした人は、昔からあるようなインストール型の会計ソフトの方が、様々な処理に対応しています。

ただし、一部のクラウド会計ソフトなら、だいたいは対応可能だと思うので、こちらの記事を確認してみてくださいね。

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デメリット③:会計知識が全くゼロだと厳しいかも

クラウド会計ソフトは、会計の知識がない人でも利用できるような設計になっています。

ですが、売り上げが大きくなってきたり、処理が多くなってきたりすると、さすがに少しは会計知識が必要になることもあると思います。

 

もし余裕がある人がいたら、学習サイトなどを利用して、スキマ時間に基礎的なことだけでも学んでおくのがおすすめです。

いつの時代にも求められる税務知識や日商簿記3,2級など経理に役立つ100講座が学べる動画サイト

さいごに

僕はというと、実は両方使ってます。笑

税理士として働いているので、クライアントがどちらを使っているか、クライアントがどちらが好みかによって使い分けています。

ただし、税理士や会計士でなければ両方は必要ないので、『どちらでもいい』という人にはクラウド型をおすすめしてます

現在のクラウド型のソフトは、どちらかといえば個人や中小企業向けなので、かなり煩雑な処理が必要となる大企業には向かないと思います。

ですが、今後さらに高度化されていくと思います。

近い将来、ほとんどの人や企業がクラウド型を使っている可能性だってあります。

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そのため、利用するなら今のうちからクラウド型にするのがおすすめです。

副業や個人でやっていくには、記帳はMUSTです。それに、ちゃんと記帳していれば、かなりの節税効果が狙えます。

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大抵のクラウド会計ソフトが、無料期間や割引などを行っているので、興味がある人は一度利用してみるのがおすすめですよ。

THE END

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