税理士 / 経理業界

【転職希望者必見】Big 4税理士法人の仕事・業務内容まとめ

 

4大税理士法人に興味がある人

『Big 4税理士法人って、ホームページを見ると何か難しそうな仕事をしていそう。でも、どこのホームページを見ても似たようなことが書いてあって、実際にどのような業務をやっているかわかりません。Big4税理士法人の主な仕事、業務内容を教えてください。』

こんな悩みにお答えします。

✓この記事の想定読者

・4大税理士法人に興味がある人

・4大税理士法人への転職を考えている人

・税理士業界に興味がある人

こんにちは、税理士のまぐすです。

この記事では、4大税理士法人・Big4税理士法人と呼ばれる税理士法人の、仕事や業務内容について紹介します。

✓本記事の信頼性

僕は、Big 4税理士法人でマネージャーとして働いていました。

また、大手総合商社や金融機関でもBig 4税理士法人に業務を委託し、活用する立場にいたので、広くBig 4税理士法人の業務や仕事の内容を把握しています。

さらに、周りの税理士仲間には多くのBig4で働く人がいるので、幅広く情報を得られる環境にあります。

先に結論をお伝えします。Big 4税理士法人が行っている主な仕事・業務は以下の5つに分けられます。

この記事を読めば、Big 4税理士法人が主にどのような仕事、どのような業務を行っているかが理解できるようになります。

特に、Big 4税理士法人への就職や転職を考えている人は、Big 4税理士法人に入社してどのような仕事をしてみたいか、イメージが沸くと思いますよ。

以下では、これら5つの業務に関してそれぞれ解説していきます。

主な業務は4つ

4大税理士法人の業務は、主に以下の4つです。

① 法人税の税務申告業務

② 国際税務に関するアドバイス業務

③ M&Aや組織再編に係るアドバイス業務

④ 移転価格税制に関する業務

⑤ その他

その中でも、少しずつ業務内容やクライアントに違いもありますので、以下で詳しく解説していきますね。

法人税の税務申告業務

概要

他の税理士事務所や税理士法人と同様に、1番最初に挙げられる業務が、法人税の税務申告業務です。

申告業務は、Big 4税理士法人の中では一般的に「コンプライアンス(=法令遵守)業務」と呼ばれています。

主なクライアントは、外資系企業の日本子会社や上場企業の子会社等が中心ですが、他にも以下のような特徴があります。それぞれの特徴について、解説していきます。

クライアントに特徴がある

上記で説明した通り、主なクライアントは主に外資系企業の日本子会社や、上場企業の子会社などが中心ですが、その他にも、クライアントの特性に合わせてその分野に特化した部署があります。

コンプライアンス業務の特徴ごとに分けると、以下のような部署に分けることができます。

・ 一般的な事業会社を中心に主に申告業務を行う部署

・ 金融業界の企業をクライアントとする部署

・ 資産の流動化に伴う特定目的会社(SPC)などを中心とした部署

・ その他(申告業務をメインにしてはいないものの、付随的に申告業務も行う部署)

上記のクライアント別に、部署が分かれている場合もあります。それぞれの業界に特徴がありますからね。

代表的なものは、「金融業界のクライアントを中心とする部署」と「SPCのクライアントを中心とする部署」です。

連結納税の申告業務

Big 4税理士法人では、上場企業など多くの日本子会社を有している企業をクライアントとしていることから、多くの連結納税グループもクライアントになっています。

したがって、Big 4税理士法人の中では一般的に、連結納税の申告業務も対応しています。

他の税理士事務所や税理士法人、特に大手または準大手の税理士法人においても、連結納税の申告業務に精通した人はそれほど多くないため、Big4税理士法人の申告業務の特徴の1つといえます。

「連結納税ってどんなだろう」「連結納税を勉強してみたいな」という人は、こちらの記事でおすすめの本を紹介しています。

きっと初心者の方でも分かりやすい本だと思うので、ぜひこちらで勉強してみてくださいね。

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申告書の作成だけじゃない

Big 4税理士法人では、申告業務といっても一般的な税理士法人や税理士事務所と異なり、申告書の作成業務以外にも業務があります。

例えば、クライアントが自ら作成した申告書をレビューする業務が挙げられます。

Big 4税理士法人のクライアントは、外資系企業の日本法人や上場企業またはその子会社が中心となるため、数十人規模の経理部や税務担当者を有している企業が多くあります。

そのため、クライアントが自ら申告書を作るケースも大にしてあるのです。そういった場合には、Big 4税理士法人は、0から申告書を作成するのではなく、クライアント側で作成された申告書を、基礎資料とともに最終チェックする役割を担っています。

その他にも、同じグループのメンバーファームである監査法人が、会計監査を行う過程で、決算書の税金関係の数字の妥当性をチェックするサポート業務を行うこともあります。

国際税務

Big 4税理士法人の売り1つである、国際税務について説明していきます。

Big 4税理士法人はそのグローバルネットワークを駆使して、クロスボーダー取引に関する税務アドバイスを行っています。

以下では、国際税務業務における代表的なサービスについて解説します。

インバウンド(外資系企業の日本市場への参入)

外資系企業が、日本参入する際にどのような方法が税効率がいいか、日本の税法に従ってアドバイスをする業務です。

その企業の所在する国、子会社と日本法人買収の事例で参入するかなど、ビジネスモデルによって論点は異なってきます。

アウトバウンド(日本企業の海外市場への参入)

日本企業が海外市場へ参入する分は、日本のBig 4税理士法人が、海外のBig 4税理士法人と連携して、現地の税務に関するアドバイスを行います。

この場合、海外の税法がメインになりますので、海外のBig 4税理士法人が現地の税制を調べ、そのフィードバックを受けた上で日本の税理士法人がクライアントである日本企業がアドバイスを行います。

タックスヘイブン対策税制(CFC税制)

国際税務における成功の1つに、タックスヘイブン対策税制(CFC税制、外国子会社合算税制等)があります。

この制度は主に、日本やアメリカなどの先進国で設けられている場合が多く、適用された場合には税額の影響も大きいことから、非常に高い知識が求められます。

外国税額控除

国際税務の分野で非常に大切になってくるのが、この外国税額控除です。

大まかには、1つの収益に対し2カ国以上の国で課税されてしまうと、企業としてはその分利益を失うことになります。そのため、各国における外国税額控除制度や租税条約を適用することで、二重課税を解消し、利益を確保するものです。

したがって、企業にとっては非常に重要なポイントとなりますが、その解釈や適用は実務的にも非常に難しいポイントになります。

 

「国際税務ってどんなだろう」「国際税務を勉強してみたいな」という人は、こちらの記事でおすすめの本を紹介しています。

きっと初心者の方でも分かりやすい本だと思うので、ぜひこちらで勉強してみてくださいね。(実際、総合商社や金融機関でも、Global Tax Managerとして後輩たちにこれらの本を紹介して勉強してもらってました。)

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M&Aや組織再編

一般的に、企業における最大の取引とも言えるM&A取引やそれに伴う組織再編に関する税務アドバイスを行うことをいいます。

主には、以下のサービスがメインとなります。

税務デューデリジェンス

企業が他の企業または企業グループを買収する際に、税務コンプライアンス(税務に関する法令遵守)状況や、買収後における将来の税務調査で多額の追徴課税が課される租税債務のチェックを、事業計画や過去の税務申告書に基づきそのリスクの度合いを図ることをいいます。

そのリスクの度合いが、買収価格に追い込まれる事は稀ですが、一般的には、将来において発生する租税債務を担保するために、買収契約書等の契約条項に織り込むことが一般的です。

したがって、その影響とは大きく、重要かつ高度なサービスではなります。

ストラクチャー考案

M&Aによる企業買収後の適切な組織編成や、現在のグループ内での最適な資本関係を実現するために、企業はそのグループ内の組織の再編成を考案することがよくあります。

その際に、どのような順番や手順で再編成するのが最も税効率がいいか、そのストラクチャーを考案し提案するのがこのサービスになります。

組織再編の順番や手順は、関連する他の法令の制限や影響が比較的少ないことから、ストラクチャー後半は主に税効率の目的で行われます。したがって、ストラクチャー考案こそが税務プロフェッショナルとしての腕の見せ所です。

 

「組織再編って難しそうだけど、興味あるな」「組織再編税制を勉強してみたいな」という人は、こちらの記事でおすすめの本を紹介しています。

ずっとM&Aや組織再編に携わってきた僕だからこそ、初心者にも分かりやすい本を紹介しています。(事実、後輩たちにもこれらの本をおすすめしてきました。)

ぜひこちらから勉強してみてくださいね。

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移転価格に関するサービス

移転価格税制に関しては、2007年ごろからOECDや主要な国または地域の税務当局を中心に重要視され始め、世界経済の低迷とともにその注目度が高まってきていました。

ただし、各国の習性が異なる中で、2か国以上をまたがる取引に対する課税は、そのルール化や統一化が非常に難しく、各企業だけでは対応できないことから、Big 4税理士法人のグローバルなネットワークを有する税務アドバイザーのサポートが必須となっています。

主なアドバイスは、以下の通りです。

取引価格の妥当性の検証

移転価格税制は、グループ内取引での取引価格を調整することで、できるだけ税率の低い国に所属を寄せることで、グループ全体としての税負担を減らそうとすることを防止し通常の取引に基づいて課税を行うと言う制度です。

したがって、少し違った捉え方をしている人も多いようですが、「移転価格税制に従って取引価格を決めなさい」と言う制度ではなく、純粋な事業目的を持つ第三者との取引条件に従って取引をした時と大きく異なる場合には、異なった価格が許容される範囲内であるが、また異なることに妥当性はあるのかを検証することが求められている制度です。

これらの妥当性の検証には、膨大な外部の取引情報なども必要になることから、各国での取引に関する膨大なデータベースを有するBig 4税理士法人が行える特徴的なサービスの1つといえます。

移転価格の文書化

日本を含む主要な国は、グループ内の取引のうち一定の国をまたぐ取引については、取引価格が移転価格税制の観点から妥当であることを称する文書を作成、保管することを制度として設けています。

ただし、その文書は、その国の経済状況や市場の動向、比較可能性を有する他社の特定の取引情報等、高度な情報や分析が必要であることから、外部アドバイザーのアドバイスに基づき作成されることになります。

国外関連者寄付金

移転価格税制と密接に関連しているの国外関連者寄付金の論点です。

移転価格税制は、上記の通り、非常に煩雑です。それは、課税当局(国税調査や国税局、税務署等)においても同じです。

そのため、課税当局としては、それほど金額規模が大きくない取引については、移転価格ではなく、より煩雑さの少ない国外関連借金として否認しようとします。

ただし、その論点は移転価格税制と非常に類似していることから、国外関連者喫緊の移転価格の税務プロフェッショナルのアドバイスというのが、非常に重要になります。

 

「移転価格ってどんなだろう」「移転価格を勉強してみたいな」という人は、こちらの記事で、移転価格におすすめの本を紹介しているので、こちらで勉強してみてくださいね。

きっと初心者でもわかりやすいと思いますよ。

移転価格
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その他

以下では、上記以外にBig 4税理士法人が行っている代表的な業務を解説します。

記帳代行業務

限定された1部の業務ではありますが、ビック4税理士法人においても記帳代行業務を行っている部署やサービスがあります。

Big 4税理士法人は、基本的に報酬が高めに設定されていることから、一般的な日本の中小企業と言うよりも、高いお金を払ってでもBig 4税理士法人にお願いしたいという、外資系企業の日本子会社等が主なクライアントとなります。

税務ガバナンス体制の構築

近年では、グローバル企業に対する税務ガバナンス体制の構築が、各国で重要視されてきています。

これは、単に税務当局だけでなく、企業価値を図る指標であるESG(環境・社会・ガバナンス)などにおいても重要視されつつあります。

したがって、例えば税務に関するグループ統一的な社内ルールを持っていないグローバル企業などにおいては、各国でも理解される適切な税務に関する社内ルールの構築がマストとなっています。
Big 4税理士法人は、グローバルネットワークを駆使して、各国でも許容される税務に関する社内ルール構築をサポートしています。

企業は、それらの取り組み内容を投資家などの外部のステークホルダーにアピールすることで、その企業価値向上を図っています。

個人の所得税の申告

一方税理士法人では、個人の所得税を取り扱う特定の部署を設けています。

ただしそれは、他の個人の税理士事務所等と異なり、その個人のクライアントは、富裕層や外資系企業の日本への駐在員(expatsと呼ばれます)がメインとなります。

したがって、基本的な基礎資料のやりとりは海外の本社がその外国人がメインとなるため、英語が必須となります。

まとめ

以上が、Big 4税理士法人の主な業務の内容になります。これらの業務の概要を押さえておけば、Big 4税理士法人への転職や就職を検討する際には、十分に参考になると思います

もちろん、これ以外にもありますし、Big 4税理士法人のサービスは時代や経済の動向に伴って日々変わっていくものになります。大きな変化があれば、本記事についても適宜アップデートしていきます。

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今回は以上です。

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