4大税理士法人に興味がある人
『税理士業界には”Big4”とか”4大”って言われる税理士法人があるみたいだけど、、、どんななところなのかな?ホームページを見てもよく分からないから、普通の税理士法人との違いについて、詳しく教えて欲しいな。』
こんな悩みにお答えします。
✓この記事の想定読者
・4大税理士法人で働くことに興味がある人
・税理士業界に挑戦しようと思っている人
・税理士法人に仕事をお願いしようと思っている人
こんにちは、元Big4税理士法人でマネージャーとして働いていた、税理士のまぐすです。
この記事では、一般にあまり知られていない「Big4」「4大税理士法人」の実態について紹介していきます。
✓本記事の信頼性
僕はまさにBig 4税理士法人で働いていた経験があります。
また、大手総合商社や金融機関でもBig 4税理士法人に業務を委託し、活用する立場にいたので広くBig 4税理士法人の業務を把握しています。
この記事を読むことによって、Big4税理士法人の組織や事業内容、特徴などに加えて、日本の税務業界における彼らの位置づけも理解することができますよ。
なお、「そもそも税理士業界ってどんな事務所があるの?」という人は、「税理士業界の勢力図」「税理士業界にどんな事務所があるか」について詳しく紹介しているので、先にこちらの記事を見てみてくださいね。
📓もくじ
Big4税理士法人の概要
税理士業界において、Big 4や四大と呼ばれる税理士法人があります。それは以下の4つの税理士法人です。(順不同)
・ KPMG税理士法人
・PwC税理士法人
・EY税理士法人
・デロイト トーマツ税理士法人
それぞれの法人名にアルファベット・カタカナが使われているのが特徴の1つです。
これらは実は、海外の最大手グローバル会計事務所との間で、日本におけるメンバーファーム契約を結んでいるため、それぞれの海外の会計事務所が使われているからです。
つまり、世界各国に点在するメンバーファームと、必要に応じて柔軟の連携しながらグローバルベースのサービスを提供するために、多額のメンバーシップフィー等を払って各グループに加盟しているんです。
グローバルメンバーファームのメリット
海外の最大手グローバル会計事務所のメンバーに加盟することによって様々なメリットがあります。
代表的なこととして挙げられるのは以下の2点です。
メリット①:お互いに仕事をお願いできる
メリット②:各国の最新情報を相互に共有できる
以下では、それらメリットについて詳しく解説していきます。
もしBig 4税理士法人で働くことになったら、これらメリットを知っておけば、出世にも繋がる働き方ができると思いますよ。
お互いに仕事をお願いできる
会計基準とは異なり、税務の世界では、未だに各国の制度・法律が大きく異なっています。
理由は、各国での経済環境やインフラの重要性、外資規制など、国営における税金の位置づけや重要性が全く異なるためとも言われています。
そのため、自分たちだけで世界中の税法を把握することはできません。
だけど、自分のクライアントが海外の税法を知りたいというケースがあるんです。
例えば、海外の法人を買収したいとした場合や、新たに子会社を設立するために現地の税制を知りたいといった場合です。
そうした、海外の税法が知りたい・必要となった場合に、メンバーファームであるメリットが最も生かされるんです。
現地のメンバーファームには、日本からの駐在員もいます。基本的な社内ルールもグローバル統一されています。そのため、海外の初めて会った人であっても仕事をお願いしやすいんです。
さらに、クライアント側としても、各国で最も大きな会計事務所であるため信頼できるといったメリットがあります。
そこでいい関係が作れれば、今度は逆に仕事を依頼されることもあるかもしれません。
さらに、現地への駐在の話も出てくるかもしれません。
各国の最新情報を相互に共有できる
メンバーに加入した場合、各メンバーファームはグローバルで共通のイントラネット・社内ポータルサイトにアクセスすることができます。
そこでは、日々、各国での会計・税務に関する最新情報を英語ベース(重要なニュースに関しては、母国語に翻訳された情報)で見ることができます。
実はこれ、非常に重要なことなのです。
もしどこかの国で大きな税制改正があったと日本の新聞で報道され、クライアントから照会を受けたとします。
でもそのニュースは英語ではなく現地の言語であったら、読めなくて理解できないですよね。
ほかの会計事務所よりも先に、正確でホットな情報が得られれば、それをお土産に各クライアント先へ営業に回ることだって可能です。
また、そういった最新情報を知っている・取得できる環境というだけでも、十分にクライアントから信頼を得られます。
そのため、Big4で働くなら、英語力があった方が評価されやすいし、働きやすいです。
英語に興味がある人は、こちらの記事に英語のおすすめ勉強法をまとめていますので、合わせて確認してみてくださいね。
よくある誤解
たまに「外資系税理士事務所」と耳にすることがありますが、正確にはこれは間違いです。
なぜなら日本の税理士法人は合名会社であるため、海外からの出資は受けていません。
あくまで海外のグローバル会計事務所のメンバーファームということですよ。
組織の特徴
Big4税理士法人は、その組織にも特徴があります
以下では、それぞれの組織の特徴について解説します。
オフィスのロケーションが良い
日本の4大税理士法人の本社は、すべてが東京にその本社があります。
場所はそれぞれ以下の通りです。(オフィスは一つではないので、メインとなるオフィスの場所だけ記載しておきますね。)
・KPMG税理士法人 ⇒ 六本木一丁目
・PwC税理士法人 ⇒ 霞が関
・EY税理士法人 ⇒ 日比谷
・デロイト トーマツ税理士法人 ⇒ 二重橋
どれも超一流のビジネス街またはビルに位置しており、周辺には超有名企業が並んでいるような状態です。
また、4大税理士法人は、別の業界でBig 4(または4大)と呼ばれる弁護士法人や監査法人と連携して仕事をすることもあるため、周辺にはそういった法律や金融関係の会社名が多くあるのも特徴です。
メンバーファームが充実
上記で説明した通り、Big4税理士法人はグローバル会計事務所のメンバーファームの1つです。
ですが、日本にはそれらのメンバーが他にもあります。それが監査法人や、総合型コンサルティングファームと呼ばれる会社です。
いずれも、会計や税務、財務といった数字に関係する分野を強みとするコンサルティングファームです。
グループ内にこうしたアドバイザリー業務を行う会社があるのも、Big4税理士法人の特徴の1つといえます。
圧倒的に専門性が高い
他の税理士事務所と比べて、とにかく専門性が高いと言えます。
例えば、一般的な会計事務所であれば、通常の記帳代行業務や支払代行など、一般的な会計事務所が行う業務に加えて、上場支援業務や事業再生支援など、税務以外の分野に関するサービスも提供していることが多くあります。
しかし、Big4税理士法人は違います。
そういった税務以外の領域については、それを専門に行う部署やチームが他のメンバーパークの中にあるため、基本的には厭くまで税務分野に集中して取り組むことができるのです。
そのため、Big4税理士法人が求められるレベルと言うのは、日本で最高レベルの高度な専門性であると言えます。
日本企業としては『Big4税理士法人が受けられないとなると、他に頼るところがないなぁ、、、」というくらい、専門性に特化しています。
Big4税理士法人で働くことに興味がある人の中には、こういった特徴があるからこそ次のように考える人もいるかもしれません。
入れたとしてもやっていけるかなぁ、、、
そんな人に向けて、こちらの記事を用意しています。「どんな人がBig4税理士法人で活躍できるかな?」と疑問に思った人は、ぜひ確認してみてくださいね。
主な業務内容の特徴
4大税理士法人が提供するサービスは、基本的には税務業務に特化しているものの、その分野は一般的な会計事務所と比べて多岐に渡ります。
それでは、4大税理士法人の業務を、大きく4つに分けて説明していきます。
税務申告業務
税務申告業務は他の会計事務所でも一般的にやっている事ですが、そこにはいくつかの特徴があります。
例えば、以下のような特徴です。
✓4大税理士法人の申告業務の特徴
・基本的には主に法人の申告が中心
・外資系クライアントが多い
・個人の税務申告でも外国人の申告が中心
また、4大税理士法人が抱えるクライアントは、大手上場企業やその子会社など、大手企業が中心です。
取引規模やその複雑性から、求められる税務知識も高度なものになります。
例えば、連結納税や組織再編等もその一つです。「連結納税を勉強してみたい!」という人は、こちらの記事もぜひご覧くださいね。
国際税務
4大税理士法人の仕事として、国際税務の仕事があります。
他の日系会計事務所や税理士事務所も海外に拠点を展開しているところがあります。
ですが、4大税理士法人は圧倒的な海外ネットワークを有しているため、実質的には4大税理士法人で唯一成り立つサービスといっていいと思います。
近年は、国際的な租税回避に対するグローバルでの規制強化などが進んでいるため、より取り扱う業務は煩雑になってきていますが、例えば以下のようなような業務が、代表的な国際税務業務です。
・タックスヘイブン
・クロスボーダーM&A
・外国税額控や移転価格 など
なお、国際税務を勉強するのにおすすめな本を、こちらの記事にまとめました。「これから国際税務をやってみたいな!」と思っている人は、ぜひご覧ください。
M&Aや組織再編成などのアドバイザリー業務
4大税理士法人の業務の目玉の1つとして、大型のM&Aや組織再編成に関するアドバイザリー業務があります。
社内でも花形部署とされ、稼ぎ頭の1つです。
新聞に載るような大型のM&Aには、必ずと言っていいほどBig4税理士法人が関与していますよ。
実際に、僕もBig4税理士法人ではそういった案件をいくつも担当していました。
新聞を見た時の達成感は、未だに覚えていますね。
なぜそのような大型のM&Aなどに行く方が関与できるかと言うと、その高い専門性だけでなく、メンバーファームの中に法律事務所や監査法人、M&Aなどの大型ディールのアドバイザリー業務を扱うコンサルティングファームがあるためです。
メンバーファーム内で連携して業務が遂行できるため、特に大型のM&Aなどで活躍します。
なお、組織再編税制に関するおすすめの本は、こちらの記事にまとめています。
組織再編税制は、詳しい税理士も多くありません。「社内の評価を上げたい!」「M&Aに関与してみたい!」という人は、ぜひご覧ください。
移転価格
最後に、近年のBig4税理士法人における稼ぎ頭の1つとも言えるサービスに、移転価格に関するサービスがあります。
現在では、移転価格に対するサービスを専門とする税理士事務所やコンサルティング会社が多くあります。
ですが、移転価格は日本の税制のみならずその相手国の税制まで手当てしなければいけないため、世界的なネットワークを有していなければ、総合的なサービスは難しいものです。
従って、最終的にはBig4税理士法人のサービスの幅や精度の高さに勝るものはないというのが現状です。
なお、移転価格を勉強するのにおすすめの本は、こちらの記事にまとめています。併せて確認してみてくださいね。
その他
上記以外に、Big4税理士法人は多くのサービスを提供しています。
また、日本の税理士業界を牽引する存在であるため、例えば、財務省や経済産業省との税制改正の相談対応や、意見提出、租税研究会の運営など、日本の税制の適切な運営に対する実務家としての意見発信を行ったりもします。
さらに、日本で税務訴訟が起こった際には、企業側をサポートするため意見書を提出したりすることもあります。
つまりは、そのネットワークの広さや専門性の高さから、想像以上に広い範囲で役割を担っていると言えるのです。
なお、Big 4税理士法人の詳しい業務内容については、以下の記事に5,500文字でまとめました。より詳しく書いてあるので、Big 4税理士法人がなにをしているのか気になる方は、必ず見てみてくださいね。
また、4大税理士法人それぞれの違いや特徴については、こちらのnoteに本音ですべてまとめてみました。
ブログやSNSでは決して言えない本音をすべて織り込んでいますので、特に、4大税理士法人で働くことに興味がある人はぜひご覧くださいね。
▼4大税理士法人に関するnote
4大税理士法人と呼ばれる4つの税理士法人の違いや特徴を、本音や裏話を踏まえて正直にまとめてみました。
【実体験】4大税理士法人それぞれの特徴や違いを正直に紹介【元Big4税理士が紹介】
4大税理士法人への就職を検討している人は、ぜひご覧くださいね。
さいごに
以上が、4大税理士法人の業務の大まかな内容になります。
もちろん、これ以外にも時代の移り変わりによって人生が変化するため、Big4税理士法人が提供するサービスにも変化が出てきます。
働く人にとってはとても刺激のある、やりがいのある仕事がたくさんあります。
Big4税理士法人で働くことに興味がある人は、まずは転職サイトに登録して、どんなポジション・どんな待遇か調べてみるのがおすすめです。
なお、4大税理士法人は、どこもホームページで求人を行っています。そのため、自分で直接応募する人も少なくないと思います。
ですが、元採用担当として言えるのは、「エージェント経由の方が好条件になりやすい」と「転職手続きが楽」ということ。
こちらの記事でも、転職エージェントを活用すべき理由を紹介していますが、個人的には、直接応募はおすすめしません。
興味がある人には、ぜひBig4税理士法人への転職を成功してもらいたいので、元採用担当だった僕が、Big4税理士法人の採用基準についてまとめてみました。こちらもぜひご覧くださいね。
また、「4大税理士法人で働くことに興味があるけど、どの税理士法人がいいのかな?」という人に向けて、4大税理士法人それぞれの特徴や違いについては、こちらのnoteにまとめてみました。
企業の実態について紹介するにあたっては、ブログだと以下のような弊害があります。
・書きたいぶっちゃけ話が書けない
・根拠のない批判や荒らしがある
・4大税理士法人で働くことに興味ある人が知りたい、コアな部分が書けない
「もっと詳しく知りたい」「正直なところ、どうなの?」という情報が知りたい人向けに、note【実体験】4大税理士法人それぞれの特徴や違いを正直に紹介【元Big4税理士が紹介】を制作しました。
今回は以上です。
最後まで読んでくれてありがとうございました。転職成功に少しでも役立てていれば嬉しいです。
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