税務関係の仕事をしている人
『連結納税って複雑そうだな、、、普通の税金とはまた少し違うんだろうし、難しそう。何かおすすめな本があったら知りたいな。』
こんな疑問にお答えします。
✓この記事の想定読者
・連結納税を採用している企業の経理で働く人
・税理士法人や会計事務所で働く人
・連結納税制度に自信がない人
こんにちは、税理士のまずくです。
✓本記事の信頼性
僕は、4大税理士法人で年に何件も連結納税制度を採用しているクライアントの申告業務をマネージャーとして担当していました。
その中には、誰もが知っているような超大手企業なども含まれます。
また、転職した5大総合商社や大手金融機関も、連結納税制度を採用していたため、自社の税務申告でも連結納税を扱っていました。
というわけで今回は、これから連結納税を勉強する人や、仕事で担当する人向けに、僕がおすすめする書籍を3つ厳選して紹介していきます。
どの書籍も、僕が前に働いていた4大税理士法人などでバリバリ働いている人にとってのバイブルのような本たちです。
ですが、Big 4税理士法人とはいえ、連結納税に詳しい人は一握り。ここで紹介する本を参考に、連結納税の知識や経験が得られれば、転職市場での価値もかなり高まると思いますよ。ぜひ参考にしてみてくださいね。
ではさっそく紹介していきます。
📓もくじ
連結納税制度の初心者が読むべき本
おすすめは、以下のとおりです。
順番に解説しますね。
おすすめ①:詳解・連結納税Q&A (第9版)
連結納税のバイブルといったら、この本に勝るものはないと思います。
この本のすごいところは、以下の3つが完ぺきに揃っているところです。
・情報の網羅性
・事例の具体性
・根拠の明確性
どの4大税理士法人でも、連結納税に強いどんな税理士でも、この本は必ず持っているはずです。
そのくらいおすすめな本です。
この本は、連結納税の基礎から応用までのすべてをQA形式で解説しています。連結納税に関する疑問はすべてこちらで解決できます。
もし分からないことがあっても、ちゃんと根拠条文が掲載されているので、あとで自分で調べることもできます。
さらに、申告書(別表)の書き方についても、事例形式で詳しく解説してくれているのでわかりやすいです。
おすすめ②:連結納税の実務
こちらの本も、実務家にはおすすめ。
基本的な知識は「おすすめ①:詳解・連結納税Q&A (第9版)」で十分だと思いますが、「申告書の書き方の事例とか、もっと見てみたい!」という人にはこちらがおすすめ。
こちらの本は、以下のようなことを中心に書かれています。
・連結納税申告書別表の具体的記載例・記載上の留意点
・連結納税開始時など事前に準備しなきゃいけないこと
・連結納税離脱時の取扱い
かなり実務家向けの本なので、困ったときにはこれもあった方がおすすめです。
おすすめ③:連結納税の組織再編税制ケーススタディ
そう思う人もいるかもしれません。
ですが、連結納税を採用している会社の多くは、組織再編税制も関わってくるケースがかなり多くあります。
僕は、4大税理士法人で主にM&Aやその会社の税務申告を担当していました。また、5大総合商社や大手金融機関でも連結納税を担当していました。
例えば買収した会社が連結納税に新たに加入する場合などは、組織の資本関係をキレイにするためにも、組織再編成が活用されることが多いです。
実は、連結納税を採用しているときに組織再編をすると、通常の組織再編とは少し違った取り扱いをする項目がいくつかあります。
そのため、連結納税を担当する人は、1冊は「連結納税のための組織再編税制の本」を持っておくべき。そして僕がおすすめするのが、こちらの本というわけです。
なお、組織再編税制に関するおすすめの本については、こちらの記事で詳しく紹介しているので、組織再編に興味がある人はあわせて確認してみてくださいね。
迷ったら、とりあえず買ってください
というわけで、3冊を紹介しました。
よくある話で「買おうか、、、悩む」という人がいます。
そういった場合は「その悩む時間が無駄」だと思います。結局のところ、この3つか似た本にたどり着くと思うからです。
なのでポチりましょう。
まずは「おすすめ①」からでもOK
「一気に3つ買うのは厳しいかな、、、」
そんな人は、とりあえず「おすすめ①:詳解・連結納税Q&A (第9版)
こちらの本は、本当にバイブルと呼べる本です。
僕は、新版が出るたびに買いなおしています。
「まず1冊」ということであれば、こちらの本を購入しておけば間違いありませんよ。
特にこの本、すぐに売り切れてしまうので注意です!
その後はプレミアがついて高額で取引されることになるので、見つけたら早めに購入しておきましょう!
図書館でもOKです、、、が
お金がシンドいなら、図書館に行きましょう。
土日に図書館に行き、そして本を手に取り、その場で読んでください。
いちいち借りると、また返さないとですよね。その時間が無駄なので、図書館で読破できればOKかなと思います。
あと、専門性が高いので、相当大きな図書館や税務図書館に行かなきゃ借りられませんよ。
時間は有限なので、できるだけ無駄遣いしない方がいいと思います。
連結納税の初心者に伝えたいこと
ここからは余談です。
今回、このページに興味を持ってくれた人は、主に「連結納税の初心者」「連結納税にあまり自信がない人」で、仕事で必要になったから必死にネットで本を探している人なのではないかと思います。
そんな人に伝えたいことは、以下のとおりです。
連結納税の知識は、今後さらに重要性が増しますよ。
連結納税はなくなる?
ここから少し難しい話になります。
令和元年12月12日に自由民主党・公明党より令和2年度税制改正大綱(つまり、翌年度以降に実施する増税や減税、新税の導入内容などをまとめた文書)が公表されました。
今回の税制改正大綱では、連結納税制度について平成14年度の制度創設以来、18年ぶりに抜本的な見直しが行われ、令和4年4月1日以後に開始する事業年度からグループ通算制度へ移行することとされました。
そう思う人がいるかもしれません。
ですが、詳しくいえば「企業グループ全体を一つの納税単位とする現行制度に代えて、企業グループ内の各法人を納税単位とする」ということです。
つまり、概念としては変わらないということです。
今後、より需要が伸びる
今回の改正は、かなり大きな改正です。
なぜなら、現行の連結納税制度が抱えていた問題を抜本的に解決しようという改正だからです。
現行の連結納税制度は、グループ内の各子法人の税務情報を親法人に集約し、一体としてまとめて申告する方式。
そのため、法人間の連絡や調整が煩雑で、事務負担や計算誤りがあった場合の修更正の事務負担が大きかったというデメリットがありました。
それが原因で、損益通算のメリットがあるにもかかわらず、制度を選択していない企業グループも多くありました。
そこで、企業グループ内の各法人を納税単位とし、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行いつつ、損益通算等の調整を行う簡素な仕組みとされ、申告納付や修更正に係る事務負担の軽減が図られます。
また、連結納税制度の選択のハードルとなっている適用開始・グループ加入時の時価評価課税・欠損金の切捨て等についても改正されます。
そのため、今後さらに(旧)連結納税を採用する企業が増えてくるのではないかと考えられます。
連結納税を知っていれば市場価値も上がるかも
このように、国や法律が連結納税の採用を推し進めています。
そのため、連結納税の知識がある人は、今後の転職市場でもかなりの価値が出てくると思います。
いま、新たに連結納税を勉強しようと思っても「難しそうだな、、、」「面倒だな、、、」とネガティブに思っている人がいたら、とりあえず上記で紹介した本を買ってみてください。
これを身に付けられれば、社内や転職市場でのあなたの価値は、きっと上がるはずですよ。
税理士の見直しも検討すべきかも
僕は、4大税理士法人や5大総合商社、大手金融機関で多くの連結納税の申告書を作ってきました。
その中で感じたのは、「税理士でも連結納税に詳しい人はかなり少ない」ということ。
もし、企業の経理で働いていて「これから連結納税を担当するんだ」という人がいたら、現在の顧問税理士のことはちゃんと見定めた方がいいですよ。
もしあまり連結納税に詳しくない税理士であれば、変更することも検討してみるべきだと思います。
・税理士ドットコム
・税理士紹介ネットワーク
※リンクをクリックすれば、公式ホームページへとびます。
今回は以上です。