『個人の確定申告では、業務に関係する支払いであれば経費に落とせるって聞いたんだけど、実は経費に落とせる支払いって例えばどういったものがあるのかな?それらもちゃんと経費にできれば、節税につながるってことだよね?』
こんな疑問にお答えします。
こんにちは、税理士のまぐすです。
この記事を書いている僕は、税理士として10年以上税務調査に関わってきました。
また、アドバイザーとして税務調査での指摘リスクの評価なども行ってきました。
そんな僕が、10年以上節税策のアドバイスや税務調査対応を行っていて気がついた、『経費にならないと思われがちだけど、実は経費になる』という支払いを5つ紹介します。
これらの支払いを適切に経費にすることができれば、無駄な税金を抑えることができます。
また、抑えることができる税金は、今年の税金だけじゃありません。今後すべてにかかる税金です。
こちらの記事を読んで、本当は経費に落とせる支払いをしっかり把握して、無駄な税金の支払いを防いで下さいね。
📓もくじ
節税の基本
まずは、無駄な税金を抑える『節税』の基本についてです。
節税の基本は実はシンプルで、以下の2つになります。
・ 売上を減らす
・ 費用を増やす
特定の事業者や、特殊な取引に関する個別の優遇税制などを除いて、誰にでもできる節税策は基本的にこの2つです。
と思う人もいるかもしれません。
ですが、この2つをバカにしてはいけません。
その理由は、以下の2つです。
理由①:半永久的な節税効果
まず、理由の1つ目は『今後、半永久的に節税効果を発揮してくれるから』です。
例えば、特定の資産を購入したときに適用できる一括償却や、一定の要件を満たした場合にのみ適用できる税額控除は、あくまで『一定の要件を満たしたときだけ』の節税策です。
一方で、いつも発生する支払いに関して経費とすることができれば、その事業を続けている限り、継続して節税効果を得ることができるのです。
理由②:売上と費用は税法独自のもの
そして、ここでいう『売上』と『費用』は、税法で独自に規定された、または税法の考え方に沿った独自のものなのです。
そのため、一般的な会計や簿記とは一致しないものです。
従って、売上・費用とはいえ、税法の考え方をしっかりと理解しておかなければ、結果として損をしてしまうかもしれないので注意が必要です。
なお、税務調査や税法における費用・経費の考え方ついては、こちらの記事にまとめていますので、本記事を読み進める前に確認してみてくださいね。
実は落とせる経費7選
それでは、節税の基礎がわかったところでようやく「実は落とせる経費」を紹介していきます。
落とせる経費①:交際費
まず勘違いされやすい経費としては、交際費が挙げられます。
『交際費って一定の金額までしかダメなんでしょ?』
という人もいますが、個人の確定申告であれば、金額の上限はありません。
いくらでも経費に落とすことが可能です。
交際費に上限があるというのは、一定の会社(法人)に対する法人税の計算に関してです。
もしかしたら、混乱しちゃっているのかもはされませんね。
また、この交際費は事業の用途で使ったことが説明できれば、誰とどこででもオッケーです。
例えば、お土産代やレジャー施設の代金も、業務に関連しているのであれば経費にして大丈夫です。
ただし、注意すべきはちゃんと記録しておくことです。
交際費というのは一般に、仕事とプライベートの線引きが難しい支払いです。
なぜなら、接待と言うのは、いま時点では全く売り上げにつながっていない、これから取引が発生するかもしれない人にも行うからです。
そのため、なんの記録も根拠もなく『仕事で飲みに行ったんだ!』と言っても、税務調査では納得してもらえないかもしれません。
そこで、きちんと経費として落とすためには、交際費であってもちゃんと記録を取ることが大切です。
税務調査では、以下の点を確認されることが多いので、ぜひ覚えておきましょう。
✔ 税務調査で見られやすいポイント
・ 日時
・ 接待交際の相手
・ お店
・ 金額
なお、交際費の税務調査については、以下もかならず知っておいた方がいいですよ。
税務調査には"反面調査"というものがあります。
これは、商品を販売した取引先や、接待した相手に『本当にその事実があったか』をこっそり確認するものです。
そのため、もし接待の相手先をごまかして交際費を多く経費にしようとしても、反面調査でばれてしまう可能性があるので注意して下さいね
落とせる経費②:会議費
交際費に似た支払いとして、会議費があります。
これは、交際費が接待交際にかかる費用であるのに対し、会議費はまさに『会議に要した支払い』です。
実は、この『会議に要した支払い』と言うのがポイントです。
会議の内容や出席者、場所や時間などは、会社や人によって様々です。
そのため、税務調査においてもかなり広い範囲の支払いが、経費として認められます。
一方で、納税者としては『何でも会議費にしてしまえばいい』と思ってしまうような便利な科目なので、税務調査官はかなり疑っていると思った方が良いでしょう。
そこで重要なのが、交際費と同じく『記録を取ること』です。
記録の内容は交際費とほぼ同じですが、交際費と異なり『その会議の目的や内容』記憶しておく必要があることに注意してくださいね。
✔ 記録しておくべき事項
・ 日時
・ 接待交際の相手
・ お店
・ 金額
・ 目的や内容
落とせる経費③:家電や備品
家電や備品でも、『業務に必要だったと説明できる』のであれば、かなり多くの支払いが経費として計上できますよ。
なお、『業務に必要だったと説明できるかどうか』がなぜ大切かがわからないと言う人は、先にこちらの記事を確認してくださいね。
特に最近では、オフィス環境をより良いものにするため、これまで以上に自宅やプライベート空間との差がない会社も多くあります。
例えば、以下のような家電薬品であっても、授業に必要だと言うことを説明できれば、経費として全く問題ありませんよ。
・ 冷蔵庫や電子レンジ
・ エアコン
・ テレビ
・ 掃除機
ただし、何でもかんでも経費で落とそうとするのはおすすめしません。
なぜなら、税務署からの心証の悪化を招くからです。
そうなると、税務調査の頻度や厳しさにも繋がってしまうかもしれませんので、無駄な争いは避けましょう。
なお、10万円以上の支払いがあったときは注意してください。
これは、10万円のものについては、詳細を申告する必要があったり、経費ではなく資産として取り扱う必要が出てくるかもしれないからです。
最近では高額な家電も増えていますので、注意してくださいね。
落とせる経費④:家賃のすべて
個人やフリーランスとして働いている人の中には、自宅をオフィスにしている人も多いはず。
そんな人の中で、もし賃貸マンションやアパートに住んでいる人がいれば、積極的にその家賃を経費として落としてしまってオッケーです。
世間では、家賃の半分とか3分の1とか言われていますが、全く根拠はありませんよ。
大切なのは、経費としたその家・自宅で業務を行なっていたという事実を証明できるかです。
例えば、必要なパソコンやプリンター、書籍などがあれば、そこで仕事をしている事実は説明できると思います。
さらに、1日の大半がそこで仕事をしているのであれば、キッチンやリビングでも仕事をしていても何にもおかしくありませんよね。
そのため、実態を説明できる限りは、一般に思われている以上に家賃を経費に落としてしまってオッケーですよ。
そう思った人は、日本の税法や税務調査の基礎がわかれば、納得もらえると思います。
こちらの記事に、その内容まとめていますので必ず見てくださいね。
落とせる経費⑤:水道光熱費や電話代・通信料など
個人やフリーランスの方で経費にしていないケースをよく見かけるのが、水道光熱費や電話代・通信料等です。
その理由は、領収書がないから。
ただし、こうした支払いは領収書がなくても経費として認められるケースが一般的です。
それは、主に以下の理由からです。
・ 領収書がないことが一般的
・ いざとなれば明細を出すことができる
したがって、こうした支払いについてもきちんと経費として申告しましょう。
落とせる経費⑥:税金
『税金』と聞くだけで、『経費にはできないんでしょ?』と思う人もいるようですが、税金も大半は経費として落とせますよ。
代表的な例として、以下のような税金は全て経費として処理できます。
・ 固定資産税
・ 不動産取得税
・ 自動車税
・ 印紙税
・ 個人事業税
これ以外にも、消費税だって経費に落とせることだってあるんです。
ただし、例えば延滞税や加算税などは、その内容から経費に落とすことができません。
このように、細かな取扱いについては少し判断が難しくなりますので、注意してくださいね。
落とせる経費⑦:領収書がなくてOKなもの
上記の他にも、領収書がないと言うことを理由に経費にすることを諦めている支払いはありませんか?
実は、領収書がなくても経費に落とすことができる支払いは、かなりたくさんあるのです。
そのうち、僕が良く見かける代表的なものを紹介します。
・交通費
現代では、新幹線など明らかに領収書が発行されるようなものを除けば、地下鉄やタクシーなどでも必ずしも領収書が必要ではありません。
地下鉄はICカードを利用すると金額が変わるし、タクシーもUberなどの予約サービスの利用が増えています。
そのため、必ずしも領収書形式で書類を保存しておく必要はありません。
『乗換案内』や予約サービスのマイページからその実態や金額が証明できればokです。
領収書がないからといってあきらめないでくださいね。
・冠婚葬祭に関する費用
冠婚葬祭に関する費用も、業務に必要ということが説明できれば当然に経費に落とせます。
ですが、こういった支払いでは領収書が発行されないケースがほとんど。
そういった場合でも、ちゃんと記録をとっておけば十分に経費にすることができますよ。
ただし、金額には注意してください。
あまりにも高額な支払いであれば、「業務に必ずしも必要だったかということの説明が難しくなってしまいますよ。
さいごに
無駄な支払いを抑え、適切な税金計算を実現するためには、本記事で解説した支払いを経費にすることに加えて、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
・ 税務調査の入りやすいタイミング
・ 経費にできるかどうかの考え方
これらについては、こちらの記事にまとめていますのでぜひ合わせて確認してくださいね。
なお、無駄な税金の支払いを抑え、ちゃんと節税するためには、日頃から『これは経費になるかな?』と疑うことです。
とはいえ、事業が拡大していけば、その分支払いの種類や取引の煩雑さも増してくるはず。
そうなると、経費の判断も難しくなると思います。
例えば、備品であっても20万円以上なら資産として取り扱うなど、金額や内容によっては個別の取り扱いが規定されているものもあります。
そのため、事業が拡大したり、今後拡大する予定がある人は、1度は必ず税理士さんに見てもらったほうがいいと思います。
税理士とは言え、価格や専門はそれぞれ。
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THE END