税理士業界で転職を考えてるけど、年齢がちょっと気になる人
・ようやく試験に合格したから税理士業界へ挑戦したいけど、年齢制限ってあるのかな?
・税理士事務所で働いてるけど、30代でも別の税理士法人へも転職できる?
・税理士業界は40代でも転職できるのか教えてもらいたい。
こういった疑問にお答えします。
✓この記事の想定読者
・税理士業界での転職に興味がある人
・これから長く税理士業界で働いていこうと考えている人
・税理士業界で転職したい30代・40代
こんにちは、税理士のまぐすです。
この記事では、『30代・40代でも税理士業界は転職可能な3つの理由と注意点』をまとめてみました。
✓この記事の信頼性
この記事を書いている僕は、以下のような企業で採用担当者としての実績があります。
・総合系コンサル及びbig 4税理士法人での転職面接官
・大手総合商社での新卒採用の面接官
・大手金融機関での転職者の採用面接官
・海外コンサルティングファームでの転職者の採用面接官
こんな僕が、Big 4税理士法人や大手企業で採用担当をしていた際にいつも感じていたことですので、ぜひじっくり読み込んでください。
ここで解説する3つの理由を知っていれば、
・転職に一歩踏み出せないでいた30代・40代の人
・これから長く税理士業界で頑張っていこうと考えている人
こんな人も、勇気を出して転職活動を初めて見ることができますよ。
なぜなら、転職で大手企業や海外移住を実現し、かつ、過去および現在以下のような4つの企業で採用の面接官を担当している僕が、採用時にいつも感じていることだからです。
それでは、解説していきますね。
📓もくじ
30代・40代でも転職可能な理由
結論、税理士業界は30代・40代でも転職可能な理由は以下の3つです。
✓30代・40代でも転職可能な理由
・理由①:税理士志望者が減少している
・理由②:そもそも税理士業界は30代は若手
・理由③:社会人経験がある人の需要が高い
それでは、それぞれの理由について詳しく解説していきます。
理由①:税理士志望者が減少している
ここ数年、毎年のように税理士受験者数は減少しています。
その理由は諸説ありますが、難易度と合格までの平均期間が長いことが挙げられます。
国税庁によれば、毎年の税理士受験者数は以下のように大幅に減少しています。(もちろん、税理士の需要は変わっていません。)
年度 | 受験者数(人) |
平成25年度 | 45,337 |
平成26年度 | 41,031 |
平成27年度 | 38,175 |
平成28年度 | 35,589 |
平成29年度 | 32,974 |
平成30年度 | 30,850 |
Source:毎年の「税理士試験結果|国税庁」
また、税理士業界に限らず、今はどの就職・転職市場においても売り手市場。だからこそ、難関資格である税理士試験に挑戦する人は、年々減少しています。
特に、有名大学出身者であれば、わざわざ合格するか分からない難関国家資格に挑まなくても、希望の企業・年収を得ることができます。
そのため、税理士業界へ挑戦する人も減っているわけですね。
でも税理士業界の需要は高まっている
一方で、近年、法人税や消費税などの、企業に関連する税法は複雑化する一方です。
国際税務におけるグローバルでの統一化の加速や租税回避に関する社会の関心の高まりもあり、企業としては内製化するどころか、外部アドバイザーとやり取りできるスキルを持った人材の確保すら難しい状況です。
これは税理士事務所も同じで、複雑化する税法についていけない事務所も多いのです。
従って、『やる気がある』『学ぶ姿勢が強い』など、十分に向上心を持って挑めば、そもそも人数が少ない一方で専門性が高まっている分野なので、年齢はそれほど影響が少ないのです。
特に、上記で説明したような複雑化が進む分野に強みのある人であれば、いくつであっても需要は相当に高いです。
税理士業界で「やる気」が大切な理由については、4大税理士法人の採用基準を例に、こちらの記事で詳しく解説しているので、併せて確認してみてくださいね。
理由②:そもそも税理士業界は30代は若手
以下をご覧ください。
こちらも毎年国税庁が発表している税理士試験受験者の年齢層ごとに分けたものです。
年度 | 30代受験者数(人) |
平成25年度 | 17,792 |
平成26年度 | 16,030 |
平成27年度 | 14,672 |
平成28年度 | 13,269 |
平成29年度 | 12,068 |
平成30年度 | 10,984 |
Source:毎年の「税理士試験結果|国税庁」、31歳~40歳の合計数
ここ6年間くらいで約半分にまで減少しており、その傾向が顕著に表れています。
さらに、同じく30代の合格者数を見てみましょう。
年度 | 30代合格者数(人) |
平成25年度 | 3,119 |
平成26年度 | 2,517 |
平成27年度 | 2,589 |
平成28年度 | 2,142 |
平成29年度 | 1,716 |
平成30年度 | 1,716 |
※Source:毎年の「税理士試験結果|国税庁」、31歳~40歳の合計数
30代合格者数もここ6年間で約半分になっていることがわかると思います。
つまり、税理士業界では30代で資格を持っていれば決して遅くはないのです。
そのため、税理士業界では、30代だからといって十分な知識や経験が求められません。
特に税理士法人・税理士事務所への転職では、『これまでの社会人経験』『合格科目が何か』『社会人としての常識』、それに『やる気』の方が求められるのです。
特に『やる気』については重要です。
なぜなら、昨今の税法は毎年のように大きな改正が行われます。
それに遅れないようにキャッチアップしていくためには、やる気を持って常に勉強していく姿勢が大切だからです。
理由③:やる気と社会人経験が求められている
税理士事務所・税理士法人は、やる気やモチベーションさえあれば、新卒者よりも社会人経験者を選ぶ傾向にあると思います。
税理士業界は、クライアントのビジネスが理解できなければなりません。
そのため、広くビジネスの基本を理解していることが重要なのです。
そのため、社会人経験というのはとても重要です。
「税理士業界は、これまでのキャリアを生かしやすい業界」ということについては、こちらの記事で詳しくまとめていますので、併せて確認してみてくださいね。
そして、「やる気」も大切です。
実際、4大税理士法人だって30大・40大で転職してくる人はたくさんいますよ!
その理由について詳しく解説していきます。
やる気が大切な理由①:新卒者の教育する体制が不完全
税理士法人・会計事務所のほとんどが、中小企業または零細企業と同じくらいの規模です。
最大規模の4大税理士法人だって、500-600人くらいですからね。
20代前半が少ない中小企業を想像してみてください。
『社会人としてのイロハ』など、社会人としての基礎的な姿勢や常識に関する研修制度が充実した企業って少なそうですよね。
それに、その事務所の上司・先輩たちも、ただでさえ人材不足の環境なのに、手取り足取り教えてる余裕はありません。
つまり、人材育成にかけられる時間的余裕も制度もないので、既に社会人としてしっかりと独立している人は貴重なのです。
やる気が大切な理由②:いろんな業界にクライアントを有している
2つ目の理由は、税理士業界はいろんな業界・ビジネスに対する知識が必要だからです。
税理士業界のクライアントは、いろんな業界の人・企業があります。
クライアントの税金を計算するためには、クライアントのビジネスモデル・収益モデルを十分に理解しなければなりません。
たとえば、近年はIT業界や金融業界を中心に、その取引はより複雑化しています。
税金のプロであってそれら業界のプロでない税理士にとっては、その取引を理解せることは相当に困難です。
そのため、単純に「税金の知識や資格があります」というだけでなく、他の業界の知識を持っていることが大切なのです。
やる気が大切な理由③:自分で判断できる人を求めている
上記①の理由にも関連しますが、新入社員だからといって手取り足取り教える環境や余裕がないことから、『自分で判断して進められる人』を求めていると言えます。
具体的には、以下のような基本的なスキルを有する人材です。
・報連相が適切に行える
・自ら問題・課題を発見できる
・発見した問題・課題に対して自ら解決策を提案できる
あたり前なようで、社会人なりたての頃って難しいですよね。
それらのスキルは、20代の社会人が身につけるべきスキルかもしれません。
その点から、30代40代、社会人として一定の経験を有し、色んな困難を乗り越えてきた人材の方が期待されているのです。
30代・40代で転職する際の注意点
最後に、30代・40代で税理士業界で転職する際の注意点について説明します。
当たり前と思うものもあるかもしれませんが、念のため。
注意点①:継続して勉強できるかは大切
税理士業界は、専門性の高い業界です。その知識をサービスとして提供しています。
最新の知識を提供しなければならないため、税法が変わる都度、最新情報を収集し、知識をアップデートしていかなければならないのです。
それを怠れば、当然ながらすぐにクライアントからの信頼も損ないますし、若手社員にも追い抜かれてしまうでしょう。
注意点②:転職に高望みしすぎない
もし税理士業界での十分な経験を持っていない場合、税理士事務所・税理士法人はあなたの特定の業界に対する知見や地頭の良さ、勉強意欲や前向きな姿勢などを評価して採用するはずです。
つまり、ポテンシャル採用という意味合いが大きいのです。
そのため、税理士業界歴が短いのであれば、高望みしすぎない方がおすすめ。
一般企業なら、年功序列のため、年齢に応じた給料がもらえるかもしれません。
ですが、税理士業界は「ポテンシャル採用」ということは十分にあり得るのです。
そのため、採用時点ではじめから「高い給料」「高いポジション」とはいかないかもしれません。
また、税理士事務所・税理士法人の年収に関して言えば、良い部分もあります。
大半の事務所・法人は、年功序列ではなくそのポジションごとに基礎年収が決められています。
つまり、実力に応じて年収が決められるのです。
従って、もし一年目の年収が思ったより低くても、あなたの頑張り次第で翌年には大幅アップも狙えますよ。
税理士業界でどのように年収アップを狙っていくかについては、こちらの記事で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
注意点③:新たな分野にも楽しんで挑戦すること
税理士の提供するサービスは、クライアントの求めに応じて変わります。
例えば、去年は法人税の申告を担当していたのに今年は移転価格を担当、昨年は所得税だけだったのに今年は相続税の申告まで担当する、など、クライアントからのリクエストに応じてそのサービスは変わります。
当然ですが、クライアントの依頼に答えられるように、新しい分野の勉強をしなければなりません。
また、もしあなたのクライアントがあなたが携わったことのない業界の企業であれば、あなたはその業界の勉強もしなければなりません。
つまり、税理士業界では、何歳になっても常に勉強し続けることが求められているのです。
これは、社会人歴がいくら長くても、どれだけ他のスキルが高くても、みんな同じです。
転職したからといって、この業界にいる以上、常に勉強しなければならない環境からは逃れられないことを理解してください。
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まとめ
繰り返しですが、税理士業界は30代・40代でも十分に転職でいいポジション・いい条件を獲得することは可能です。
転職活動では、悩んだり不安に思ったりすることも多いと思います。その際は本記事を繰り返しよんで勇気を出して、何度も立ち直ってほしいと思います。
なお、「これから税理士業界に挑戦してみたい!」という未経験者でも、転職で成功できる理由とコツについては、こちらの記事にまとめてみました。
また、僕がおススメする転職サイトは、以下の記事にまとめています。
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ブログでは書けない本音や暴露話を含めて、4大税理士法人それぞれの違いや特徴について詳しく紹介しています。
▼4大税理士法人に関するnote
4大税理士法人と呼ばれる4つの税理士法人の違いや特徴を、本音や裏話を踏まえて正直にまとめてみました。
4大税理士法人への就職を検討している人は、ぜひご覧くださいね。
今回は以上です。