『国際税務って難しいイメージがあるんだけど、何から勉強すればいいのかわからない、、、初心者にもおすすめの本があれば教えてほしいな。あと、どんなことを勉強すればいいかも知りたい。』
こんな疑問にお答えします。
✓この記事の想定読者
・国際税務の初心者
・これから税務業界でキャリアを伸ばしていきたい人
・4大税理士法人で働くことに興味がある人 など
こんにちは、税理士のまぐすです。
この記事を書いている僕は、国際税務の分野において次のような実績があります。
・Big 4税理士法人で国際税務チームのマネージャー
・総合商社で国際税務の全社講師
・大手金融機関でグローバルタックスマネージャー
これに加え、移転価格税制の経験も多いので、この分野としてはかなり幅広い経験があると思います。
こんな僕が、国際税務の勉強を始める人に向けておすすめの本を紹介します。
✓この記事で紹介する本
・ 最初に買うべき国際税務のおすすめ本
・ 国際税務の各分野ごとのおすすめ本
国際税務に強くなって、一緒にこの分野を盛り上げていけたらと思い、本気で紹介しますね。
なお、もし僕がどのような基準でおすすめの書籍を選んでいるのか気になる人は、こちらの記事に僕がおすすめする専門書の選び方について解説していますので、まずはこちらをチェックしてみてくださいね。
それでは、紹介していきますね。
📓もくじ
そもそも国際税務って?
国際税務と一言で言っても、その範囲はかなり広いです。法人税にも、所得税にも、相続税にだって国際税務の分野はあります。
なぜなら、国際税務を端的に表現するなら以下と言えるからです。
国際税務とは、海外取引に関する税制
この記事では法人税の国際税務にフォーカス
この記事では、法人税に関する国際税務に絞って、おすすめの本を紹介します。
理由は、法人税に関する国際税務を必要としている人が1番多いと思うから
というのも、海外取引を一番多く扱っているのは、個人よりも企業ですよね。取引数も取引規模も、企業の方が多いと思います。
そのため、そんな企業で働く人や、そんな企業をクライアントに持つ人のために、この記事では法人税の国際税務に関するおすすめ本を紹介します。
法人税の国際税務は主に4つ
法人税に関係する国際税務は、主に以下の4つです。
①:外国税額控除
②:租税条約
③:タックスヘイブン
④:移転価格
このほかにも、クロスボーダーでの組織再編なども国際税務に含まれます。
でも、こちらの4つを抑えておけば、法人税に関係する国際税務は概ねカバーできるので、この4つを中心に紹介しますね。
最初に買うべき国際税務の本
最初にいうと、最初に買うべき本は本当に数少ないです。
最初に買うべき本は、この一冊で十分です。
国際税務に関する本はたくさん出版されていますが、多くの大手税理士法人で1番愛用されているのは、こちらの本だと思います。
そして、この本は買ってからしばらくは付き合っていくと思います。
この本は、以下の両方の役割を持っています。
・ 基本的なことから解説されているため、基礎を学べる
・ 幅広く掲載されているため、専門的なことを調べる辞書代わりにもなる
そのため、いわば国際税務の万能型の本です。
他にも、同じように国際税務の基礎を解説してる本がありますが、実績や信頼性から言えば、この方が1番だと思います。
ほとんどの大手税理士法人や、大手グローバル企業の経理部にも必ず置いてあるような、バイブル的な本だといえます。
各分野に関する本
国際税務といっても、実はその中には色んな分野があるんです。
例えば、以下のような分野です。
・ 外国税額控除
・ 租税条約
・ タックスヘイブン
・ 移転価格
これらの各分野が、かなりのボリュームがあります。
そのため、僕がおすすめする本の買い方は、上記でおすすめしたこちらの本を「万能型」として、次に各分野の専門書を購入することです。
なぜなら、国際税務には以下のような特徴があるからです。
・ それぞれの分野が複雑で難しい
・ 個別分野がそれほど多くない
そこで、以下ではそれぞれの分野に関しておすすめ書籍を厳選して紹介します。
ここで紹介する本は、買っておいて損がないと思いますよ。
外国税額控除
まずは、外国税額控除に関するおすすめ書籍は、こちらです。
国際税務の分野の中で1番最初にマスターしなければならないのが、この外国税額控除。
計算方法が煩雑なだけでなく、条文そのものが非常に読みにくいので、簡便的にまとまっているこの本はとても人気。外国税額控除のバイブルとも言われている本で、後ろに主要国の申告書の英訳版まで掲載されています。
また、別表へ書き方など実務的なことについても解説してくれているので、とても実務的な本です。
ただし、出版が少し古い
ただ、この本の残念なところが「出版ば古い」ということ。2012/2/20に出版された本で、それ以降は改訂が行われていません、、、
確かに、今でも全然参考になる本ではあるものの、あまり古いと少し不安になっちゃいますよね。
そんな人におすすめするのは、こちらの本です。現在はこちらと併用しているケースが多いと思います。
最初に紹介した本に比べれば少し値段が高くなりますが、それだけ価値のある本でもあります。
というのも、知っている人も多いと思いますが、こちらの朝長 英樹 先生は、日本で1番といっても過言ではないほど有名な先生。連結納税や組織再編税制の創設を主導されていた、元財務省主税局の先生です。
租税条約
次に、外国税額控除と切っても切り離せない存在である租税条約に関するおすすめの本を紹介します。
租税条約に関する本は、大きく2つに分けられます。一つは「条文代わりとなる一冊」、もう一つは「実務的に必要な一冊」です。
おすすめ①:条文の代わりとなる一冊
まずは、「絶対的な存在」である条文の代わりとなる一冊は、こちらです。
この本は、日本が締結している各国との租税条約の原文(英語)と、その日本語訳がまとまった1冊です。
通常の日本の税法に関する条文と同じ役割を担っているので、実務家ならこちらは必ず必要になります。
おすすめ②:実務的に必要な一冊
続いて、租税条約どころか、国際税務に携わるすべての人が持っておいた方がいいとも言える一冊が、こちらです。
ものすごくシンプルに言えば、この本は「租税条約を適用する場合、何を・どうすればいいの?」という問いに対して、具体例と共に優しく解説してくれている本です。
実際に租税条約を適用する際に、その届出をどのように記載すべきかや、そもそもどういった手続きが必要かなどを、具体的な事例を使って解説してくれている一冊。
実務で租税条約を取り扱う人にとっては、必ず必要な一冊といえます。
タックスヘイブン
国際税務の分野で特に難しい項目と言えば、最近はニュースでも取り上げられるようになった『タックスヘイブン税制』です。
厳密には、『外国子会社合算税制』といい、海外ではCFC税制( Controlled Foreign Company)として知られています。
タックスヘイブン税制に関する本をたくさん出ているものの、国際税務の知識だけでなく、法人税法全般の幅広い知識が必要となるため、『網羅的』かつ『簡潔』にまとまっている本は貴重です。
僕がおすすめする本はこちらです。
こちらの望月先生も、業界では非常に著名な先生です。
近年で大きな改正となった平成29年度税制改正以降の内容が織り込まれた本の中では、こちらが1番、網羅的かつ簡潔に書かれていると思います。
ただし、その大部分は平成29年度税制改正以前と大きくは変わらないので、より実務的に判断が難しい項目や、過去の判例に関してもまとまっている本としては、こちらの本がおすすめです。
またまた朝長先生の登場です。笑 (ステマじゃないですよ!笑)
少し古い一冊ですが、手元に置いておいても損はないと思いますよ。
移転価格税制
そして最後に、近年の国際税務の分野では1番ホットな移転価格税制。
日本をはじめ、各国のルールもここ数年で大きく変わってきていることから、今後も注目される分野です。
そんな移転価格税制に関するおすすめの本は、こちらの記事にまとめていますので、こちらを見てみてくださいね。
さいごに
国際税務の分野は、通常の所得税や法人税に比べて、内容が煩雑なだけでなく、本もあまり出版されていないと言うのが現状です。
この記事に記載した本を参考に、ぜひ実務に生かしてくれたらと思います。
なお、専門書には特別な読み方があります。特に、4大税理士法人時代、新入社員にはまずは条文や専門書の読み方を指導していました。そのくらい、専門書の読み方を知っておくことは大切です。
より効率的に仕事・勉強に生かしてもらうためにこちらの記事を用意しています。
また、最適な専門書の選び方については、こちらの記事にまとめています。併せて確認してみてくださいね。
英語の勉強も併せてはじめてみよう
また、本気で「国際税務を勉強してみよう!」と思う人は、ぜひ英語の勉強も並行して進めてみてくださいね。
国際税務をやっていると、いつか必ず英語が必要になります。
僕なら、まずはTOEICの勉強を始めてみるのがおすすめです。その理由とおすすめ勉強法を、こちらの記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
今回は以上です。
ぜひ国際税務の知識を身に付けて、一緒に税理士業界を盛り上げていければいいなと思っています。
国際税務を取り扱っている税理士事務所に転職してみるのもアリだと思います。ぜひ自分にあった事務所で働き、専門性を磨いて市場価値を高めてくださいね。
最後までありがとうございました。