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税理士試験の勉強は実務に役立つのか【元Big4税理士が解説】

 

税理士受験生や転職を考えている人

『試験で勉強した科目を使った仕事をしたくて、就職・転職しようと思うんだけど、そもそも税理士試験の勉強って実務でいかせるのかな?やっぱり実務の方が難しいだろうし、ムリなのかな。』

こんな疑問にお答えします。

 

✓この記事の想定読者

・就職や転職を考えている税理士受験生

・受験科目に悩んでいる税理士試験の受験生

・試験勉強した科目を使って働きたいと思っている人

 

こんにちは、元4大税理士法人で働いていた、まぐすです。

この記事では、税理士試験の受験科目に悩んでいる人や、勉強したことがある科目を使って仕事がしたいと言う人に向けて『税理士試験の勉強が実務に生かせるか』について紹介します。

 

✓この記事の信頼性

この記事を書いている僕は、合格科目である法人税を生かすために4大税理士法人で働いていました。

また、そこでは採用担当も行っていたため、いろんな会計事務所の採用基準も把握しています。

税理士試験の受験生と、採用する会計事務所、両方の立場から紹介しますね。

 

率直に言って「試験より実務の方が難しい」は本当です。

でも、税理士試験の勉強が日に生かせるかどうかで、選択する科目も変わるし、勉強へのモチベーションも違うと思います。

 

この記事を読めば、試験勉強のモチベーションが上がると思いますよ。

また、現在の会計事務所から転職を考えている人でも、「どんな科目、どんな環境が自分に合っているのか」がわかると思うので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

 

税理士試験の勉強は実務に役立つのか

 

まず結論です。

結論、役立ちます。むしろ、一生の武器になります。

 

網羅的・体系的に勉強できるのは試験だけ

 

税理士試験の勉強は、1つの税法・会計を、網羅的・体系的に勉強できる、貴重な時間です。

 

確かに実務では勉強が必要

 

もちろん、実務では受験科目以外の勉強をたくさんします。

 

例えば、法人の税務申告だけでも、法人税、事業税、住民税、消費税。

それだけでなく、印紙税や償却資産税の知識だって必要。

 

それだけではありません。法人のクライアント相手でも、それ以外に必要な税法だってあります。

例えば相続税。

会社の資産の価値を評価するために相続税の知識が必要だったりします。

 

さらには、法人税の計算問題では出題されない、移転価格の知識が必要だったりします

 

ただし、試験勉強は特別

 

でも、実務において網羅的・体系的に勉強するわけじゃないケースがほとんど。

必要となった税法を、全て完璧に勉強しなきゃいけないというわけじゃない。

 

仕事が割り振られて、もしやったことがなかったら、必要な分だけ勉強する。

 

例えば、消費税の勉強をしたことがない人が、法人をクライアントにもったとします。個人消費税の勉強なんて無視しちゃうのは、イメージつきますよね。

 

仕事は仕事。自主勉強の時間じゃありません。

そのため、仕事が必要な分しか学べないと言うのが本音です。

 

そのため、1つの分野に集中して、網羅的・体系的に勉強できる時間は、ホント貴重です。

大学や、大学院だって同じですよね。その学部・学科にいたとしたって、自分が研究した分野以外はちょっと不安。

他の研究室の友達の方が知ってるに決まってます。

 

試験勉強は一生の武器になる

 

「試験勉強は、働いたら意味ないよ」

そんな人もいるかもしれません。

 

ですが、しっかり考えた上で受験科目を選んでいる限り、一生の武器にもなります。

 

「自信のある分野をもっている」は武器になる

 

しっかりと網羅的に、かつ正確に勉強した税法が1つでもあると、それは将来にわたっても自分自身の武器になります。

 

確かに、個人や零細企業を主なクライアントとする場合には、武器になりにくいかも。

海外取引のような複雑な取引がなかったり、マニアックな論点がないこともありますからね。

 

でも、得意分野をもっていると以下のようなメリットがあります。

・仕事が回ってきやすくなる。

・希望している部署に異動しやすくなる。

・転職しやすくなる。

 

得意分野・自信のある税法があると、仕事も回ってきやすくなります

 

また、会計事務所によっては特定の分野を専門としてる部署もあるので、希望の部署にも配属されやすくなります。

 

就職・転職のスタートダッシュが決められますね。

 

就職・転職にも有利

 

自信のある税法が1つでもあると言う事は、転職でも有利です。

 

というのも、採用担当者は、その人のスキルや経験だけでなく、以下のようなポイントもよくチェックしているからです。

 

「その人が、入社後にどのような部署で、どのような仕事で、どのように活躍してくれるか。」

つまり、入社後のキャリアビジョンが描けるかどうか。

このイメージができないと、採用してもその人をどう生かすかをイメージができない。

 

そうなると、どうしても採用するのをためらってしまいがち。

採用は、会社にとって大きな“買い物”ですからね。

 

そのため、強みとなる税法や分野がある事は、就職や転職でも有利になりますよ。

 

実務に生かせるかは自分次第

 

上記では「税理士試験の勉強は、実務で生かせる」ということについて紹介しました。

でも、試験勉強したからといって、なんでも生かせるかというと、それは難しい。

 

自分でしっかりと考えた行動が必要です。

 

実務に生かせる科目の選び方

 

まず気になる人も少なくないと思うのが、「どの科目を選ぶか」

ここでは、実務に生かせる税法の選び方について、ポイントをお伝えします。

 

実務で生かせる科目は少ない

 

実は、実務で「直接的に」以下しやすい税法と言うのは、あまり多くありません

 

「直接的に」生かせる税法は、具体的には以下の通り。

『法人・所得・消費・相続』

 

それ以外は『上記の紐付き』か『ニッチ』な分野。

もちろん、上記以外の製法で活躍できるフィールドもあります。

例えば、酒造メーカーで働くなら酒税、弁護士法人の中で税理士として働くなら国税徴収法など。

つまり、上記で紹介した4つの製法以外は、選択肢が限られると言うこと。

 

税理士試験の税法のうち『実務に直接生かしやすい』という意味では、上記の4つをまずは考えてOKです。

 

生かせる科目は受かりにくい?

 

ですが、残念ながら『実務に行かしやすい税法は合格しにくい』と言われています。

当然に人気だからです。

 

以下は、科目別の受験者数。

出展:国税庁「令和元年度(第69回)税理士試験結果

 

確かに人気。さらに、ボリュームも多い。

 

でも、弱気になる必要なし。必ずしも合格しにくいわけじゃないです。

 

「試験勉強をこれから始める」という人にありがちですが、「人気+ボリューム多い=受かりにくい」というわけではありません。

 

人気で受験者数が多いと言う事は、それだけ点数にはばらつきがあると言うこと

つまり、いつも満点勝負みたいなことになる事はありません。

 

一方で、合格点がかなり高いと言われる科目。例えば酒税や事業税、国税徴収法など。

これらは、1つのケアレスミスで不合格と言うことも十分にあります。

 

ボリュームが多い科目ではあるけど、合格した後のキャリアを考えれば、弱気になんてなる必要なし。

チャレンジしてみるべきだと思いますよ。

 

まずは将来像を描こう

 

とはいえ、何も考えずに「なんか法人税カッコいいからやってみよう」「法人税より所得税の方が簡単そうだから、所得税にしよう」といって選択するのはNG

 

これから科目を選ぶ人は、まずは自分の理想の将来像をイメージしてみるのがおすすめ。

 

「もし1つだけ、自分の武器になる税法を選ぶとしたら」と言う感覚で選ぶと、後悔ない選択ができるはず。

 

例えば、

・「東京で超有名な大手企業の顧問になるんだ」と言うなら法人税

・「中小企業の社長さんの助けになりたい』と言うなら所得税

・「地方で独立開業してみたい」と言うなら相続税

みたいな感じです。

 

もちろん、上記が必ずしも正しいとは言えません。

ですが、そういった「将来からの逆算」で考えてみるのが、後悔ない選択ができると思いますよ。

 

武器は1科目でもOK早く合格するのを目指そう

 

「じゃあ、やっぱり国税三法(法人税・所得税・相続税)をやるべきってこと?」というと、そういうわけではありません。

 

得意分野は、1つあるだけでも十分に武器になります。

 

自分の理想の将来像から逆算して決めた科目。

これさえ持っていれば、選択肢も広がるし、キャリアも描きやすくなる。

 

なんとなく国税三法を選ぶよりも、「武器を選びつつ、とにかく早く合格すること」が大事。

 

理由は3つあります。

理由①:モチベーションが続かない

理由②:試験内容が難しくなってきてる

理由③:実務の方が大切

 

詳しくは、こちらの記事で紹介しているので、ぜひ併せてチェックしてみてくださいね。

 

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生かせる事務所で働こう

 

そして、選択する科目が決まったら、あとはそれにあった環境で働くことが大切。

 

生かせないなら意味がない

 

将来から逆算して選んだ税法。

それが生かせないなら、元々選択した意味がありません。

 

もちろん、途中で考えが変わったのであればOK.。

でも、就職・転職を間違ったらそうなってしまっては、かなりもったいない。

 

かならず、最初にイメージした将来の自分を実現できる環境で働こう。

会計事務所の求人情報は、透明性が高いというわけではないと思います。

それでも、あなたにあった会計事務所は必ずありますよ。

 

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専門性にも2種類ある

 

じゃあ、「試験勉強を生かして専門分野を伸ばしたい」となったら、次に考えるべきは「どのように専門性を伸ばすか」です。

 

実は、“専門性”といっても2パターンあります。

パターン①:誰にも負けない得意分野を身につけたい人

パターン②:特定分野を軸に、周辺の分野の経験も身に付けたい人

 

それぞれで、選ぶべき会計事務所・その後のキャリアが大きく変わってきます。

詳しくは、こちらの記事で解説しているので、ぜひ併せてチェックしてみてくださいね。

 

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間違った就活方法が多い

 

「そりゃそうだよね」と思う人も少なくないかもしれません。

でも、採用担当をしていると、間違った就活方法をしている人が多いことに気が付きます。

 

代表的な間違った就活方法とは、以下のとおりです。

✓受験生がやりがちな就活での行動例

・予備校が作成した求人誌や壁に掲載された求人の中から選ぶ

・予備校主催の就活イベントに全てをかけている

・予備校の友人に募集している事務所を紹介してもらう

 

理由や詳細については、こちらの記事で詳しく紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

しっかりと考えて、就活に挑みましょうね。

 

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まとめ

 

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さいごに、この記事のおさらいです。

 

「税理士試験の勉強は実務に役立つのか」の結論。

役立ちます。むしろ、一生の武器になります。

 

とはいえ、何も考えずに科目を選ぶのはNG。

しっかりと将来から逆算して科目を選び、それを生かせる環境で働こう。

 

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最難関国家資格の1つ、税理士資格。

それに挑もうと思っている時点で、きっと将来のこともしっかりと考えられていると思います。

 

この記事が、そんな将来を真剣に考えている方の後悔ない選択に、少しでも役立てていれば嬉しいです。

今回は以上です。ありがとうございました。

 

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