確定申告が必要な人
『会社員として働いているけど、今年から確定申告が必要になるんだよね。でも確定申告って難しそうだし、税務調査ってなんだか怖い。
たけど、出来るだけ無駄な税金は払いたくない。確定申告に関する税務調査や、経費の考え方について教えてほしい』
こういった疑問にお答えします。
こんにちは、税理士のまぐすです。
この記事を書いている僕は、税理士として10年以上税務調査に関わってきました。
また、アドバイザーとして税務調査での指摘リスクの評価なども行ってきました。
現在は、会計税務アドバイザーとして、富裕層やフリーランス向けに、確定申告や節税スキームなどのアドバイス業務を提供しています。
そんな僕が、10年以上の経験に基づき、個人の確定申告に関する税務調査および経費の基礎について解説します。
税金に詳しくない人は、「税務調査」と聞くと怖い印象を持つかもしれません。だからこそ、税務調査に対する誤解がとても多いと思います。
この記事を読めば、以下のようなことが分かります。
・ 税務調査は怖くない
・ 税務調査に対応する際の心構え
・ どうすれば正しく経費として処理できるか
この記事を読めば、きっと税務調査が怖くなくなると思います。
少し難しい話もありますが、結論だけでも読んで、無駄な税金の支払いを防いでくださいね。
📓もくじ
はじめに【税務調査の基礎】
無駄な税金の支払いを抑えるために、まずは税務調査の基礎について解説します。
多くの人が勘違い!税務調査とは
一般的に、1番の勘違いだと思うのが、『税務調査で、その処理や計算の妥当性を証明する義務があると思われていること』だと思います。
つまり、「税務調査では、自分の申告が正しいことを証明しなきゃ」こんな風に思っている人が多いのではないでしょうか。
でも実は、そんな義務は皆さんにはないんです。
日本では、納税者が「自分が正しいことを証明する」のではなく、「調査官が申告が誤っていることを証明する」というルールを採用しています。
日本では、所得税の申告では"申告納税方式"というものが採用されています。
つまり、納税者が自ら正しい計算を行なって申告することになるため、申告している時点で納税者はその申告が正しいと思っているということになります。
従って、税務調査では『納税者がその処理や計算の妥当性を証明する』のではなく、関連資料を提出はするものの、最終的には『調査官が、あなたの申告が間違っていることを証明する義務がある』んです。
そのため、領収書や契約書などをしっかり管理して、正しく計算している限り、もし税務調査で『これ違うのではないですか?』と言われても、そのまま鵜呑みにする必要はありませんよ。
近年の税務調査の動向
これまでの税務調査は、主に大企業や富裕層をターゲットにしたものが多かったというのが実情です。
なぜなら、一回の税務調査で指摘できる金額が大きくなるからです。
ですが、近年はその税務調査にも変化が訪れています。
実は、近年は富裕層や一般の個人を対象とする税務調査を強化していると言われています。
なぜなら、これまでは難しかった個人の所得の情報が、マイナンバー制度の開始で今までよりも簡単になったからです。
国税庁は28日、2019年6月までの1年間(2018事務年度)に実施した所得税の調査結果を発表した。
株や不動産などの大口所有者である「富裕層」に対し、18事務年度には5313件の調査を実施し、85%にあたる4517件で申告漏れなどがあった。申告漏れ所得の総額は763億円で、追徴税額は203億円と17事務年度から約15%増えた。
いずれも統計を取り始めた09事務年度以降で最高だった。
Source:日本経済新聞『「富裕層」の申告漏れ最多、1年で763億円 国税庁調査』
従って、これまでは『自分には税務調査なんてないだろう』と思っている人も、今後は注意が必要です。
黒字化や赤字への転落時には要注意
こんな疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
もちろん、明確なルールはありませんので、会社規模や業種、地域などによっても違いがあります。
ですが、一般的にターゲットになりやすい時期はあります。それは、次の時期です。
✔ 税務調査が入りやすい時期
・ 会社設立後、初めて黒字化したとき
・ 黒字から赤字に、または赤字から黒字に変わったとき
・ 前回の税務調査から3年が経過したとき
これらは、大手税理士法人では一般に認知されている注意点ですし、僕の知る限り、税務署内でも一般的な目線のようです。
これらに該当した人は、注意が必要ですね。
経費の考え方【たった1つです】
ここからは、確定申告で経費に落とせる支払いの基本的な考え方について解説します。
税法では、世の中のすべての支払いに関する取扱いが規定されているわけではありません。
この考え方を理解しておけば、これまで経費にしていなかった支払いも経費にすることができるので、余計な税金の支払いを防ぎ、節税することができると思いますよ。
経費の基本的な考え方
確定申告で経費として計上できる支払いは、すべて具体的に法律で決められているわけではありません。
なぜなら、世の中に取引が多すぎて全ては規程できないからです。
もし規定できたとしても、例えばビットコインや電子マネーのような新たな取引が発生した場合、取引が一般に行われるより先に法律で規定することはできないからです。
従って、その支払いが経費になるかどうかを考える際には、こちらの1つの考え方に従うことが重要です。
✔ 経費を判断するためのたった一つの考え方
『業務に必要だったと説明できるか』
業務にどんな経費が必要かは、業種や業界、会社規模や取引相手の事情などによって大きく異なります。
そのため、
・ 自分の言葉で
・ 関連資料をもって
・ 納得できる説明ができるか
このように判断すればオッケーです。
経費にならない支払い
ただし、支払っても経費にならない支払いも当然にあります。
例えば資産を購入しても、経費にならなかったり、経費になったとしても『減価償却』という形で数年間にわたって経費となることもあります。
こうした個別の取り扱いが法律で定められたもの以外にも、抑えておかなければならない考え方があります。
それが以下の通りです。
・ 業務に明らかに関係がないもの
・ 明らかに高価なもの
こちらの2つの目線を持っていれば、おおむねオッケーです。
なぜなら、こちらの2つは税務調査官が調査する際に気にするポイントだからです。
こうした支払いは、業務への必要性の証明が難しく、場合によっては個人消費とみなされてしまう恐れがあるので注意が必要です。
業務に必要なのは一部でもオッケー
また、経費として取り扱う場合、1つの支払い全てが業務のための支払いである必要はありません。
つまり、支払いのうち一部が業務のためであれば、その一部に対応する部分のみ経費として取り扱えばいいのです。
例えば、賃貸マンションを自宅兼事務所として使っていたとします。
この場合、家賃のうち事務所として使っている部屋の割合に対応する分のみを経費として取り扱うなど、合理的な計算がなされていれば問題ありません。
このように、すべてを経費とする必要はありませんので、しっかりと説明ができる計算ロジックを用意しておきましょう。
さいごに
さいごにおさらいです。
副業をしてる人やフリーランスの人など、個人の所得税に対する税務調査で大切なことは、以下の通りです。
・ 個人に対しての税務調査も増えている
・ 経費になるかどうかは『業務に必要だったと説明できるか』
とはいえ、税務調査への対応や、経費になるかどうかの判断は、明確な基準やルールがないため自分で対応することは簡単ではありません。
特に、新しい事業を始める場合、海外展開など事業が拡大する場合には、税務調査での狙われやすさや税金計算の複雑さが増加するため、プロに任せてしまった方がコスパもいいし安心です。
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今回は以上です。ありがとうございました。