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【厳選4冊】組織再編税制の初心者におすすめな本【M&Aアドバイザー税理士が紹介】

 

税務関係の仕事をしている人

『組織再編に関する税金って、すごく複雑でよくわかんない。でも取引金額も大きいからちゃんと調べなきゃ…なにかいい本ないのかな?難しいことばっかり書いてるんじゃなくて、ちゃんと実務で使える知識が載っているのがいいな。』

こんな悩みにお答えします。

 

こんにちは、税理士のまずくです。

僕は、税理士としてBig 4税理士法人でM&Aや組織再編のアドバイザーとして活動していました。

また、5大総合商社や大手金融機関においても、国内外のM&Aや組織再編の税務PMIを担当していました。

組織再編税制に関する10年超の経験を持っています。

というわけで、今回は税理士法人や会計事務所、大手企業の税務担当者として、これから組織再編税制を勉強・担当する人向けに、僕がおすすめする書籍を4つ厳選して紹介していきます

どの書籍も、僕が前に働いていたBig 4税理士法人などでバリバリ働いている人にとってのバイブルのような本たちです。

ですが、Big 4税理士法人とはいえ、組織再編税制に詳しい人は一握り。

ぜひ参考にしてみてくださいね。ではさっそく紹介していきます。

 

おすすめ①:『実務詳解 組織再編・資本等取引の税務Q&A』


実務詳解 組織再編・資本等取引の税務Q&A

著者:稲見誠一、佐藤信祐

発売日:2012/9/15

こちらの本は、組織再編税制に真剣に携わる人にとってはバイブルとも言える本です。

必ず手元に置いておきたい手引きになります。

この本をおすすめする特徴が、以下の通りです。

・ 網羅的かつ簡潔にまとまっている

・ 事例形式なので分かりやすい

・ どんな疑問もほとんど解決できる

・ 著者が業界の大御所

どれか1冊を残してすべて捨てなきゃいけないとなったら、迷うことなくこの1冊を残します!笑

それくらい重要なものです。

とはいえ、この書籍にも欠点はあります。

それが、『値段が高い』ということ。

そのため、例えばBig 4税理士法人で働いている人の中でも、本気で組織再編税制を勉強しよう!頑張ろう!と思っている人くらいしか持っていないかもしれません。

(もちろん、事務所に1冊はあると思いますよ)

ただし、今では中古品であってもかなり高級になっていますので、その良さが分かってもらえるのではないでしょうか。

また、この書籍は、この記事を執筆している時点では改版されていません。

というのも、最近まで組織再編税制に関して抜本的な改正がなかったからだと思います。

ここ数年は毎年のように改正があるので、そのうち改版されると思いますが、ボリュームがある本なので、出版されるのはもう少し後だと思います。

今ならこちらを買っておいて損はないと思いますよ。

おすすめ②:図解 組織再編税制【①が高すぎるという人向け】


図解 組織再編税制〈令和元年版〉

著者:中村 慈美
発売日:2019/9/17

こちらは、基本的な事項を網羅的に書いている書籍です。

こちらの書籍も、組織再編税制を扱ったことのある人または事務所であれば、大半が持っているかと思います。

網羅的に書いてありますので、組織再編税制の初心者から中級者くらいが、最初に読むのもいいですし、その後の実務でも手元に持っておいて損はない一冊だと思います。

ただし、正直なところ、実務的に悩ましいポイントや過去の判例などの詳しい内容にまでは踏み込んで書いているかと言えば、そんなことはありません。

そのため、その書籍で基本的なことを体系的に学びつつ、掲載されていないことがあれば個別に調べるという使い方がおすすめです。

組織再編に関する項目別のおすすめ書籍

組織再編税制といえば、初心者の方であれば『税制適格か非適格か』がポイントだと思うのではないでしょうか。

なぜなら、税理士試験でもそれ以上のことはほとんど深く勉強しないから。

ですが、実務ではむしろ、その先にある『繰越欠損金』や『含み損』の取り扱いや、海外子会社(またはその子会社が持っている欠損金など)をどう活用できるかの方が大切なのです。

お客さんに『この場合は適格分割になります』と言っても、『それで?』って感じですよね。

そこで、以下に『繰越欠損金』と『クロスボーダー』に関するおすすめの書籍を紹介します。

おすすめ③:組織再編における繰越欠損金の税務詳解(第5版) 【繰越欠損金と含み損】


組織再編における繰越欠損金の税務詳解(第5版)

著者:佐藤信祐

発売日:2017/7/20

こちらの書籍も、組織再編税制の実務ではとても著名な佐藤信祐先生が書かれたもの。

繰越欠損金だけでなく、同じく含み損(特定資産譲渡等損失額)についても事例形式で詳しく解説されているので、すぐに実務で使えると思います。

さらに、近年繰越欠損金を目的とした組織再編税制の適用で争われたヤフー事件の最高裁判決にも言及されており、最新の情報が詰め込まれています。

税の観点からは、組織再編を行う一番の目的は繰越欠損金の有効利用と言ってもいいかもしれません。

だからこそ、1冊持っておくとしたら実務的な解説の多いこの書籍です。

一番最初に紹介した『実務詳解 組織再編・資本等取引の税務Q&A』と構成も似ているので、併せて持っているととても便利ですよ!

おすすめ④:クロスボーダーM&Aの税務: ストラクチャー選択の有利・不利判定【クロスボーダー取引】


クロスボーダーM&Aの税務: ストラクチャー選択の有利・不利判定

著者:佐藤 信祐、佐和 周
発売日:2013/5/11

実はこちらも佐藤信祐先生が携わっています(笑)。

※ちなみに、僕と佐藤先生はなんら関係がありません。

組織再編税制の利用で、繰越欠損金や含み損の次に多いのが、海外子会社が抱える損失を有効利用するケース。

ですが、組織再編税制に関する書籍で海外が絡むと、極端にその書籍の数が少なくなってしまいます。

そんなとき、この書籍はかなり網羅的に多くのスキームについて言及されており、かつ、根拠も明確なので分かりやすいと思います。

さいごに

その他、合併や分割など、取引ごとの本が多く出版されています。

上記の書籍で概要を掴みつつ、不明点があったら個別にそれらの書籍を購入してみることがおすすめです。
(最初に全部購入しても、値段が高いだけですべては読み切れないと思いますよ)

組織再編が分かってきたら、ぜひ連結納税についても勉強することをおすすめします。「組織再編」×「連結納税」は、実はものすごく実務では使います。でもちゃんと理解している人が少ないのも事実、、、

こちらの記事に、連結納税のおすすめの本を纏めていますので、こちらも併せて学習することで、市場価値をグイっと上げちゃってください。

【おすすめ3選】連結納税制度の初心者が読むべき本【現役税理士が解説】 こんな疑問にお答えします。 ✓この記事の想定読者 ・連結納税を採用している企業の経理で働く人 ・税理士法人...

また、組織再編に関しては税法だけでなく会社法も大きく関わってきます。

簡単なものでよいので、会社法に関する書籍も併せて購入してくださいね。

僕がおすすめするのはこちらの本。実務家用ですべて記載されてますが、「法律ならではの読みにくさがない」のが良くて愛用してます。


専門書の選び方のコツについては、こちらの記事にまとめていますので、購入される前にぜひ確認してみてください。

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また、これら専門書は読み方を間違えると、読み切る前に挫折してしまうもの…
正しい読み方や活用法について、こちらの記事にまとめていますので、読む前に確認してくださいね!

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