法人化を検討している人
『個人でビジネスしているけど、将来的には会社にしたいな。税金面でメリットがあるっていうけど、どんなメリットがあるのかな?会社設立による節税メリットについて知りたいな。』
こんな疑問にお答えします。
✓この記事の想定読者
・会社設立を検討している人
・節税したい個人事業主
・ビジネス拡大を目指している個人事業主
こんにちは、税理士のまぐすです。
近年では副業ブームや脱サラブームもあり、個人で事業を行っている人も多くなりました。
そんな人が、いつか悩むであろう「法人化」。この記事では、会社設立による節税メリットを5つに絞って紹介します。
✓この記事の信頼性
この記事を書いている僕は、税理士として多くの起業家のサポートをしてきました。
国内外で事業を拡大し、法人化を目指す人たちに多くのアドバイスをしてきたので、その経験をもとに、法人化のメリットをまとめています。
もちろん、節税以外にも、法人化するメリットとデメリットはあります。
それらについては、こちらの記事で詳しく紹介していますので、まだご覧になられていない人は、まずはこちらをご覧頂くことがおすすめです。
それでは、以下で会社設立による節税メリットについて紹介していきますね。
📓もくじ
会社設立による節税メリット
会社設立による節税メリットは、主に以下の5つです。
①:税率が下がる
②:2年間消費税を支払わなくてOK
③:給与所得控除が受けられる
④:経費の幅が増える
⑤:欠損金を10年間繰越できる
以下では、それぞれについて解説していきますね。
メリット①:税率が下がる
所得税の場合は、累進課税制度です。つまり、稼げば稼ぐほど税率が高くなっていきます。
一方で、法人税はどんなに稼いでも税率は一定です。
平成30年4月現在、法人税の税率は原則23.2%です。
また、資本金が1億円以下の場合には、15%ないし19%とさらに低くなっています。
そのため、一定額以上の利益が出るようであれば、法人にした方が税金が安くなります。
✓稼ぎがなければ税金が高くなるケースも
ただし、注意点もあります。
法人税の場合、税率が一定なので、あまり利益がでなかったとしても同じ税率が適用されてしまいます。
そのため、「所得税 vs 法人税」を比較する場合には、「利益がいくら残るか」によって判断しなければなりません。
「所得税 vs 法人税」で法人税が有利になる目線の1つが、年間利益が500万円です。
所得税の税率は、事業(所得)の内容によって異なります。そのため、明確な基準を設定することは難しいです。
ですが、一つの目線となるのは500万円。この利益が500万円を超えてくると、法人化した方が税金が下がる人が出てきます。
さらに、利益が700~800万円を超えてきたら、大抵の人は所得税よりも法人税の方が有利になります。
細かな計算は、ビジネスの内容次第となりますが、この目線は知っておいた方がいいと思います。
✓売上によって消費税も変わってくる
実は、所得税と法人税を比べるだけでなく、消費税にも注意が必要です。
というのも、売上が1,000万円を超えると、その2年後から消費税の納税義務も発生するからです。
でも、そのタイミングで法人化すれば、以下のようなメリットがあります。
消費税の納税義務が2年間免除される
詳しくは、次の項目で紹介します。
メリット②:2年間消費税を支払わなくてOK
消費税の納税義務は、個人であっても会社であっても、基本的には次のようなルールになっています。
・設立または開業して2年間は免除
・売上が1,000万円を超えると2年後から納税義務が発生
そのため、例えば売上が1,000万円を超えそうな場合には、個人事業を廃止し会社を設立すれば、最長で4年間の消費税の納税免除ができるんです。
売上が1,000万円を超えそうな人は、覚えておいた方がいいですね。
ただし、厳密にはもっと細かなルールがあります。
例えば、資本金が1,000万円以上の場合などや、前年上半期の売上高が1000万円を超えている場合などには、納税義務が発生することになります。
上記のような例外もあるので、詳しくは、税理士などの専門家に確認することがおすすめです。
自分にあった税理士事務所は、以下のようなサイトで探すことができますよ。
・税理士ドットコム|24時間受付、年中無休、全国対応でプロのコーディネーターが最適な税理士を無料で紹介してくれます。
・税理士紹介ネットワーク
※リンクをクリックすれば、公式ホームページへとびます。
メリット③:給与所得控除が受けられる
個人の場合、売上から経費を除いた金額が稼ぎ(会社員でいうと給料)になります。
一方で、法人の場合には、自分で決めた役員報酬(会社員でいうと給料)を含めた経費を、売上から引いた金額が、法人の所得となります。
さらに、この所得から税金を引いた金額が、法人に残った金額となります。
「え、結局は所得税がかかるんなら、法人税がかかる分だけ損しちゃうんじゃないの?」と思われる人もいるかもしれません。
ですが、少し違うんです。
・役員報酬は、会社の所得全部じゃない
・会社に残ったお金も、実質的にはあなたのもの
・役員報酬は、個人のときより減らすので所得税率が下がるし、さらに給与所得控除が受けられるので、さらに下がる
ここで出てくるのが、「給与所得控除」というもの。
会社員がもらう給料や、会社の役員がもらう役員報酬は、そのまま税率がかけられるのではなく「給与所得控除」という一定の金額を差し引いた金額に、税率がかけられるのです。
一方、個人事業主の場合は「給与所得控除」はなく、そのまま税率がかけられてしまいます。
この制度ですが、簡単に言えば「生活する上で一定の費用が必要だろうから、個人の所得税を計算するときの経費と同様に、一定額は引いてあげなきゃね」という制度です。
こうした控除には、「配偶者控除」や「扶養控除」などがあります。
個人事業主の場合、家族に給料を支払っていたらこの配偶者控除や扶養控除は適用できません。
でも、会社であれば、会社から家族へ給料を支払っていても、これら控除を適用することができます。
こうした控除をうまく使うのも、上手に節税するコツですね。
メリット④:経費の幅が増える
個人の場合、一般的に必要経費に認められる費用が小さくなります。
これは、どうしても私用と事業用の線引きがあいまいだからです。
一方、会社の経費は原則としてすべての支払いが事業活動のために支出されたものとみるという前提があります。
なぜなら、会社は株主のために利益を稼ぐために活動しているため、その中に私用な支払いなんて入っていないと考えるからです。
そのため、例えば自宅兼事務所、生命保険料、退職金などですら経費にすることができるようになります。
「こんな支払も経費にできるんだ!」というものは、こちらの記事にまとめていますので、合わせて確認してみてくださいね。

メリット⑤:欠損金を10年間繰越できる
創業して間もない人は、税率が下がる他でこれが1番、節税効果が高いかもしれません。
一般的に、創業して数年は赤字ということもありますよね。
その赤字、将来利益を稼いだときに黒字と相殺することができるんですが、その繰り越せる年数に所得税と法人税で違いがあるんです。
それぞれの繰り越せる年数は、以下のとおりです。
✓赤字を繰り越せる期間
所得税:3年間
法人税:10年間
そのため、創業当初にある程度の設備投資や、広告費用を使って赤字になることが想定されていれば、法人化した方が将来的にメリットになります。
その他のメリット
直接税金の金額を下げることではありませんが、他にも税金の観点から法人化するメリットがあります。
助成金などが受けやすくなる
法人化して会社にすると、様々な助成金を受けやすくなります。
なぜなら、国や団体が提供する助成金には、一般に以下のような特徴があるからです。
・個人事業では申請できない
・会社の方が資格要件を満たしやすい
これは、社会貢献性や信用力も影響していると思います。
助成金は、返済義務も利息もないし、VC(ベンチャーキャピタル)のように経営に口出しされることもないので、受け取れるならありがたくもらいたいですよね。
色んな契約がし易くなる
単純な契約関係においても、個人と法人で違いが生じます。
例えば、個人が事務所や店舗を借りる場合、「個人だと契約できない」「誰か別の人を保証人としなければならない」といったことがあります。
ですが、法人の場合だと違います。
契約者が法人となり、保証人はあなた自身(社長)となるので、自分ひとりで契約締結できてしまうんです。
これ以外にも、法人のメリットはたくさんあります。
それらメリットはこちらの記事にまとめていますので、合わせて確認してみてくださいね。

一方で、デメリットもあります。デメリットについてはこちらの記事にまとめています。

さいごに
今回紹介した、会社設立による節税メリットは以下の5つです。
①:税率が下がる
②:2年間消費税を支払わなくてOK
③:給与所得控除が受けられる
④:経費の幅が増える
⑤:欠損金を10年間繰越できる
ただし、実際に適用できるかはビジネスの内容や資本金の金額などによっても変わってきます。
「でも、税理士に頼むと高いんだろうな、、、」という人も、現代では顧問料を低く設定している税理士事務所も多くあります。
また、将来的にビジネスを拡大していく予定の人は、より税金計算が煩雑になっていくので、早めに税理士にお願いするのがおすすめ。
自分で勉強して、手続きして、申告している時間があったら、その分を本業に充てた方が儲かるかもしれませんよ。
今では、以下のようなサイトから自分にあった税理士を探すことができます。登録無料なので、どんな税理士事務所があるかぜひ探してみてくださいね。
・税理士ドットコム
・税理士紹介ネットワーク
※リンクをクリックすれば、公式ホームページへとびます。
今回は以上です。ありがとうございました。