税理士業界に興味がある人
『税理士業界の年収っていくらくらいなのかな?税理士法人・会計事務所の給料の相場が知りたいな。あと、年収を上げるコツとかあれば教えてほしいな。』
こんな疑問にお答えします。
✓この記事の想定読者
・税理士業界への転職に興味がある人
・年収を上げたい税理士業界で働いている人
・転職を考えている税理士業界で働いている人
こんにちは、税理士のまぐすです。
この記事では、税理士法人や会計事務所の給料の相場と、税理士法人ごとの「年収1,000万円稼ぐ方法」について紹介していきます。
✓この記事の信頼性
この記事を書いている僕は、元々4大税理士法人で働いていました。
その後、就職・転職を繰り返す中で多くの税理士法人・会計事務所からオファーをもらい、税理士業界の年収の相場を把握してきました。
また、現在では多くの税理士業界仲間が増え、有名事務所から個人事務所まで、幅広く年収の相場を把握しています。
僕の詳しいキャリア・オファーを頂いた企業などが知りたいという方は、こちらのプロフィールをご覧ください。
では、税理士法人や会計事務所の給料の相場と、税理士法人ごとの「年収1,000万円稼ぐ方法」について紹介していきます。
これからのキャリアを考える上での参考になれば嬉しいです。
📓もくじ
はじめに【年収の区分は3つ】
まずは、税理士業界における年収の基本的なことについて紹介します。
会計事務所選びでも年収は大事
就職・転職するにあたって、企業選びは非常に大切。
ですが、判断基準は人それぞれ。「職場環境」「勤務地」「在宅勤務などの働き方」など、転職するにあたってはいずれも重要な基準になります。
とはいえ、年収相場は知っておいた方がいいですよね。
実は、税理士業界は他の士業、例えば弁護士や会計士と比べて平均年収が劣ります。
巷で見る「税理士の平均年収」には、独立されている年配税理士も含まれているので、従業員として働く税理士の平均年収だけを見れば、少し違いますよ。
例えば、こちらの記事によれば、公認会計士が700~900万円なのにくらべて、税理士は500~700万円とされています。
「え、税理士って難しい資格なのにそんなに給料低いの?」「でも、働いている期間は修行期間だから仕方ないよ、、、」など、様々意見があるかと思います。
ですが、実は事務所によって大きく異なります。もちろん、上記の公認会計士の平均年収を超える給料だってもらえる事務所はたくさんあります。
それだけでも、働くモチベーションが全く違ってきますよね。
そこで、下記では判断基準の中でも特に重要な「年収」について解説していきます。
年収の区分は大きく分けて3つ
世の中に税理士法人・事務所は相当な数があるため、大まかな3分類ごとに、年収を見ていくことにします。
その区分は、以下の3つです。
区分①:Big 4(四大)税理士法人
区分②:大手・準大手の税理士法人
区分③:中小税理士法人や個人事務所
上記の3つの区分に分けた理由は、税理士業界全体が概ねこの3つに分けられるからです。
税理士業界全体の区分については、こちらの記事で詳しく紹介しているので、まだ見ていない人は、先にこちらをご覧ください。
それでは、以下でそれぞれの区分の年収と、年収1,000万円を達成するための方法について紹介していきますね。
区分①:Big 4(四大)税理士法人の年収
まずは、税理士業界最大手の4大税理士法人の年収を紹介していきます。
4大税理士法人とは、以下の4つの税理士法人です。
・KPMG税理士法人
・PwC税理士法人
・EY税理士法人
・デロイト トーマツ税理士法人
「ん?4大税理士法人ってよくわからないなぁ、、、」という人は、こちらの記事で詳しく紹介しているので、先に読んでみてくださいね。
年収の特徴
基本給については、税理士業界の中では非常に高めです。
新卒1年目でも、基本給450万円~550万円(残業や臨時ボーナス除く)
年収が多い理由は「残業代」
基本給は、税理士業界ではかなり高いほうです。
でも、4大税理士法人の年収が高い主な理由は「残業代」です。
残業代をしっかり出してくれることに加え、それだけ残業が多いということです。
近年、22時以降の残業禁止などを推進している法人が多いですが、急なクライアント側のニーズに応えるため・海外案件での時差の都合などを理由に、どうしても深夜勤務が増えてしまう部署・ポジションもあります。
平均的な退社時間は、以下のイメージです。
・繁忙期:24時~27時
・閑散期:18~20時
・平均(又は年間通じて忙しい部署):22~24時くらい
※もちろん、部署などによって個人差があります。
福利厚生もしっかりしてる
また、税理士業界では珍しく、福利厚生がしっかりしていることが特徴の一つです。
残念ながら家賃補助はありません。社宅などもありません。
でも、給料とは別にカフェテリアプランがあって、一般企業のカフェテリアプランより充実しているところが多いです(1年間で10万円程度のサービスを利用できる会社もあります)。
試験休暇や登録料補助がある
さらに、公認会計士・税理士試験前に試験休暇が取れます。
これは、「試験用の特別休暇+有給休暇」を組み合わせれば、最大約1ヵ月程度あります。
そのほかにも、公認会計士試験合格者の補習所への出席はかならず保障してくれるところが多いです。
さらに、合格後の登録費用や登録費用や会費を負担してくれたりします。
年収モデル
基本的なポジションと年収モデルは、以下のようになります。(残業代込み)
ポジション | 到達までの年数(目安) | 年収(残業等込み) |
スタッフ/アソシエイツ | 経験1~3年目くらい | 450~650万円 |
シニアスタッフ/シニアアソシエイツ | 経験4~6年目くらい | 600万円~800万円 |
マネージャー | 経験7年目以降 | 800万円~ |
シニアマネージャー | 経験10~15年目以降 | 1,100~1,200万円~ |
ディレクター/サラリーパートナー | 経験15年目以降 | 1,200万円~ |
パートナー | 経験15年目以降 | 2,000万円~ |
※ポジションの名前のは、税理士法人によって呼び方が少し違います。
マネージャーまでは、概ね勤務年数に応じて順調に上がっていきます。
ただし、それ以降は社内での出世争いや部署によって異なってきます。
管理職は残業代がない
ただし、管理職であるマネージャー以上になると、残業代が支給されません。
そのため、管理職1年目には、前年より年収が下がる人もいます。
その一方で、会社・部署の業績次第では高額なボーナスが得られるため、マネージャーでも1,000万円を超える場合は多いです。
また、パートナーといってもサラリーパートナー(雇われパートナー)と純然たるパートナー(共同経営者)に分かれ、その年収は大きく差があります。
年収1千万円を狙うには?
大きく2つの方法があります。
方法①:マネージャー/シニアマネージャー以上のポジションで個人業績賞与を狙う
方法②:忙しい部署で残業代で稼ぐ
従って、業界で4年~6年程度経験すれば、十分に狙えます。
また、4大税理士法人それぞれの年収や福利厚生、働き方などについては、こちらのnoteに詳しくまとめました。
ブログでは書けない裏話なども織り込んでいるので、4大税理士法人で働くことに興味がある人はぜひ確認してみてくださいね。
▼4大税理士法人に関するnote
4大税理士法人と呼ばれる4つの税理士法人の違いや特徴を、本音や裏話を踏まえて正直にまとめてみました。
【実体験】4大税理士法人それぞれの特徴や違いを正直に紹介【元Big4税理士が紹介】
4大税理士法人への就職を検討している人は、ぜひご覧くださいね。
その②:大手・準大手の税理士法人の年収
続いて、大手・準大手の税理士法人の年収について紹介します。
年収の特徴
まず、大まかな目線としては以下の通りです。
同じ年代なら、4大税理士法人よりは下がります。
事務所によって差はある
大手・準大手くらいになると、税理士法人の数も増え、社風や特徴も大きく異なります。
そのため、統一された基準を示すことは難しくなってきます。
ただし、一般的には、基本給や福利厚生についてはBig 4(四大)税理士法人の方が好待遇です。
年収の目線としては一般企業の中~大企業と同じくらいです。
また、4大税理士法人と違って、若手でも残業代が実質的に支給されない法人が多いため、注意が必要です。
(「残業代支給」とされていても、基本給にみなし残業代が含まれているなどを理由に、実質的には支給されないケースなどがあります。)
4大税理士法人よりワークライフバランス良し
とはいえ、4大税理士法人よりもストレスも残業時間も少ないです。
クライアントは個人~中規模程度の上場企業がメイン。そのため、「深夜いきなり連絡が来た」「夜中に海外と電話会議しなければならない」といったこともほとんどありません。
従って、ワークライフバランスが取りやすい(休暇も取得しやすい)環境です。
4大税理士法人出身者も多い
また、近年は4大税理士法人との差別化を図るため、会計や税務に関連するサービスに業務範囲を広げています(例えば事業承継やIPO、M&AなどにおけるFA業務など)。
そのため、Big 4系の税理士法人や監査法人、コンサルティングファームから人材を積極的に採用しています。
そういった人は、基本給もBig 4(四大)時代とそれほど変わらずに採用してくれることが多いです。
年収モデル
基本的なポジションのイメージは4大税理士法人とそれほど変わりません。
ただし、税理士法人の数も増えてくるため年収モデルを示すのが難しいですが、一般的なモデルとしては以下かと思います。
・新卒の初任給:20万円~25万円
・シニアスタッフ/シニアアソシエイツ(5年目くらい)の年収:500~600万円くらい
・マネージャー(業界経験10年超)の年収1,000万円くらい
上記を一つの目線としていれば、概ね間違いないと思います。
4大税理士法人に負けないために、4大税理士法人からいい人材を採用するために、年収を上げている税理士法人もあります。
それでも、やはり4大税理士法人ほどとはいえないと思います。
ただし、4大税理士法人と違って、「試験の合格祝い金」がもらえる法人があります。公認会計士や税理士資格を取得したら毎月の給料にプラスして手当てが支給されるというものです。
こういった特徴があるところは、4大税理士法人との違いと言えますね。
年収1千万円を狙うには?
大手・準大手の税理士法人で、年収1,000万円を超える方法は、主に3つあると思います。
方法①:40歳くらいまで続けて、マネージャー以上を狙う
方法②:4大税理士法人から高い基本給で転職する。
方法③:中小企業のクライアントを引き連れて自ら独立
いずれの方法でも、年収1,000万円は十分に確保できると思います。
ただし、4大税理士法人と比べて到達する年齢が遅いのと、独立という手段を選択する必要があるかと思います。
その③:中小税理士法人や個人事務所の年収
最後に、中小税理士法人や個人事務所の年収について紹介します。
年収の特徴
結論、以下の通りです。
事務所(または所長)次第
元も子もないですが、中小税理士法人や個人事務所は一般に「中小または零細企業」と同じ規模・体制になります。
つまり、社長(所長)の方針次第ということです。
よほど儲かっていなければ、十分なボーナスや福利厚生を獲得することも難しいと考えた方が安全です。
(事実、僕の周りで中小税理士法人や個人事務所に努めている人で、年収に満足している人はほぼ見たことがありません、、、)
中小税理士法人や個人事務所に就職・転職する人は注意
上記のとおり、年収は所長次第と考えた方がいいです。
そのため、中小税理士法人や個人事務所への転職を考えている人は、事前にその事務所のことをしっかりとリサーチしておきましょう。
とはいえ、求人情報とかもきっと少ないですよね、、、
そのため、僕がおすすめするのは転職エージェントを利用することです。
唯一、その事務所のことを根掘り葉掘り聞けるのが、転職エージェントです。その事務所の雰囲気や所長の人柄、年収や働いている人の平均年齢などを把握してから判断しましょう。
僕がおすすめする転職エージェントは、こちらの記事で詳しく紹介しています。登録はすべて無料なので、しっかりとリサーチしてから挑戦してくださいね。
他の人と息が合えば、ストレスは少ない
所長や先輩たちと息が合えば、かなり良い職場環境である場合も多いです。(事実、僕の周りにも個人事務所で伸び伸びと働いている仲間もいます。)
4大や大手税理士法人と比べて、仕事での精神的なプレッシャーが少ない事務所が多いです。
また、4大や大手税理士法人よりも、クライアントから「○○先生」として個人で信頼されていることが多いです。
そのため、顧客を獲得してそのまま独立することだって可能なので、将来独立を考えている人にもおすすめです。
もちろん、4大税理士法人から顧客を引き連れて独立することも可能です。
ただし、顧客の規模が個人で独立して対応するには大きすぎるため、中小税理士法人や個人事務所で捕まえて独立する方が現実的だと言えます。
年収モデル
事務所の数が無数にあるため、一概には年収モデルを示すのが難しいです。
ただし、1つの目線として、一般的なモデルとしては「新卒の初任給:16万円~25万円」のように、中小または零細企業の年収モデルと大差ないと考えるべきかと思います。
年収1千万円を狙うには?
大きく2つの方法があると思っています。
方法①:顧客を捕まえて独立を狙う
方法②:その事務所を所長から譲り受けてもらうことを狙う
特に2つ目は「中小税理士法人や個人事務所」ならではのチャンスです。
昨今、会計事務所・税理士事務所の承継問題は深刻です。
引き継ぐ若い人がいないといった事務所が多いため、それを狙っていくことも有効な方法です。
4大や大手税理士法人では独立できないの?
税理士になったからには、独立を考えている人も多いと思います。
もちろん、どこの事務所からでも独立はできます。
ですが、「クライアントを引き連れての独立」は、やはり中小又は個人事務所の方が有利です。
理由は、「顧客を引き抜けるか」ではなく、「その顧客が独立後に1人で対応できる規模かどうか」です。
4大や大手税理士法人で扱う顧客の規模が、独立して一人で対応していくには大きすぎることが一般的です。
例えば、4大税理士法人で扱っているクライアントは、海外にも親会社や子会社を有しているところが多くあります。
もちろん、英語が得意であればやり取りは可能ですが、現地税制をリサーチするときはどうすればよいでしょうか?膨大な時間を費やして自ら調べますか?お金を払って現地の会計事務所へ委託しますか?
というような課題が生じてくるのです。
独立する場合には、どの程度の規模の会社をターゲットとして、いくらくらい報酬として受け取る予定か、事前にイメージしておくことが大切です。
(事実、僕の周りでも4大税理士法人を辞めて独立した人は多くいます。ですが、ターゲットとするクライアント層を間違って、再度就職している人も多いです。)
まとめ
税理士業界で働くのであれば、分かりやすく以下のようなイメージです。
規模が大きい事務所の方が、「年収」も「忙しさ」も上がっていく
転職するにあたって、年収というのは非常に大切な要素の一つです。そのため、しっかりとその事務所のことをリサーチしてくださいね。
とはいえ、会計士・税理士業界の年収はあまり知られていないため、僕は転職エージェントを利用することをおすすめします。
僕がおすすめする税理士業界に特化した転職エージェントは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
また、既に税理士業界で働いている人が事業会社へ移りたい場合には、こちらの記事におすすめの転職エージェントを纏めていますので、ぜひ併せて確認してみてくださいね。
また、「年収には不満だけど、転職は恐いな、、、自分が転職で成功できるのかな」という人には、転職に自信が持てる記事を用意しましたので、興味があれば併せて確認してみてくださいね。
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今回は以上です。
ありがとうございました。