税理士業界に興味がある人
『税理士法人って何?会計事務所とはどう違うの?税理士法人と会計事務所の違いについて知りたいな。
あと、どういった会社があるのかについても知りたいな。』
こんな疑問にお答えします。
✓ 想定読者
・税理士業界に興味がある人
・税理士法人への就職を考えている人
・どういった税理士法人があるか知りたい人
こんにちは、税理士のまぐすです。
この記事では、税理士法人と税理士事務所の違いや代表的な会社など、税理士法人の全体像について紹介します。
✓この記事の信頼性
この記事を書いている僕は、4大税理士法人・5大総合商社・大手金融を経て、現在は海外で新規事業の立上に参画しています。
転職経験だけでなく、事業会社で『税理士を利用する側』であったことや、それぞれの会社で採用担当していたため、『働く側』『利用する側』の両面から税理士業界を見てきました。
税理士業界って、普通の事業会社と比べて、いまいち業界の全体像とか勢力図とかが分かりにくいですよね。
実際、僕が初めて就活したとき色々調べても、分からないことだらけでした。
この記事を読めば、税理士業界にはどんな税理士法人があって、どんな勢力図になっているかが分かります。
自分の環境・状況・なりたい将来像に併せて『どんな税理士法人・会計事務所で働けばいいか』『どんな税理士にお願いすればいいか』が分かってもらえると思いますよ。
それでは、紹介していきます。
📓もくじ
税理士法人とは?会計事務所との違いは?
そもそも、「税理士法人」と「会計事務所」の違いから説明します。
結論、違いは以下のとおりです。
税理士法人と会計事務所・税理士事務所の違いは、「税理士がたくさんいるか、いないか」だけです。
『税理士事務所』とは、税理士が「個人事業主」として経営している、小規模の事務所のことです。
一方『税理士法人』とは、「2人以上の税理士が一緒に設立する法人形態」のことで、平成13年の税理士法改正後に認められることになりました。
税理士法人の法人形態
そう疑問に思う人もいるかもしれません。
税理士法人は、税理士法で『税理士法人』という文字を使わなければならないとされています。
税理士法人は、一般の事業会社のような「株式会社」ではなく「合名会社」に該当します。
詳しく言えば、「税理士法人は、社員を税理士に限定した、商法上の合名会社に準ずる特別法人」とされています。
ちょっと難しい説明になりますが、いわゆる「士」(さむらい)資格をもつ者のみが社員(役員)となって設立されることが強制される業種。
たとえば弁護士法人、監査法人、税理士法人、社会保険労務士法人等の士業法人。
これらは公益性が高いため、債権者保護のため法律等で合名会社の規定が多く準用されることになっています。
業務内容に違いってあるの?
結論、税理士法人と税理士事務所で、業務内容に違いはありません。
もちろん、事務所によってサービスに違いはあります。
ですが、税理士法などの関連法令で、それほど大きな違い・制限はないということです。
違いといえば、上記の通り複数の税理士で設立できるか否かという点に加えて、「支店展開できるかどうか」という違いくらいです。
現在の税理士法人の勢力図
平成13年度税制改正によって税理士法人が設立できるようになってから、多くの税理士法人が設立されてきています。
これら税理士法人でも、それぞれに違いや特徴があります。
どんな違いや特徴があるかというと、その事業規模やターゲットとしているクライアント層によって、大きく以下の3つに分けられます。
✔現在の税理士業界の区分
区分①:Big4(4大)税理士法人
区分②:大手又は準大手の税理士法人
区分③:その他の税理士法人
以下では、それぞれの大まかな概要を説明します。
区分①:Big 4(四大)税理士法人
最大手であるBig 4(または四大)税理士法人とは、以下の4つの税理士法人をいいます。
・ KPMG税理士法人
・ PwC税理士法人
・ EY税理士法人
・ デロイト トーマツ税理士法人
これらはすべて、海外の大手会計事務所の名前を借りています。
そのため、すべて英語・アルファベットの名前なんです。
それぞれ、世界的な巨大会計事務所であるKPMG、PwC、EY、Deloitteとパートナーシップ契約を締結しています。
この契約を締結し、報酬を支払って社名やネットワークを利用しています。
パートナーシップ契約とは、それら海外の大手会計事務所の名前を日本で使用するために必要な契約です。
締結するこおとで、グローバルでのネットワークや、プラットフォームを活用することができます。
詳しい概要については、こちらの記事にまとめていますので、併せて確認してみてくださいね。
4大税理士法人は業界の最大手
4大税理士法人は、売上・従業員・専門性の高さでは国内トップです。
日本での従業員数は2019年時点で600~700人程度。
クオリティーも高い一方で、単価も非常に高く設定されているのが一般的です。
主なクライアントは、一般によく知られている上場企業から外資系企業まで、大手を中心とした会社が多いのが特徴です。
海外ネットワークの強みを生かして、グローバル企業である上場企業・外資系企業をメインターゲットにしているということですね。
なお、4大税理士法人の詳しい仕事内容・業務については、こちらの記事で紹介しています。
ぜひ併せてチェックしてみてくださいね。
働いている人たちの特徴
実際、どんな人たちが働いているか。
4大税理士法人で働く人たちの主な特徴・共通点は、以下の通りです。
✔4大税理士法人で働く人たちの主な特徴・共通点
・有名大学出身
・税理士試験で「法人税」学習経験者
・モチベーション高め
もちろん、これだけではないし、該当しない人もいます。
近年では、入社ハードルが下がっているので、もっと幅広いバックグラウンドを持った人がいます。
ですが、『出世しやすい人』『長く勤められる人』の共通点は、だいたい上記の通りです。
そんな『4大税理士法人に向いている人』の共通点については、こちらの記事で詳しく紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
また、採用されやすい人の特徴について、採用担当の目線から以下の記事にまとめています。
4大税理士法人で働くことに興味がある人は、ぜひチェックしてみてくださいね。
4大税理士法人ごとの違い
そう思う人も、少なくないかもしれません。
4大税理士法人それぞれの特徴や違いって、ホームページとかを見ても分かりにくいですよね、、、
そこで、「まずは、簡単に知れればいいな、、、」という人に向けて、こちらの記事に『それぞれの違い』をまとめてみました。ぜひ参考にしてみてくださいね。
4大税理士法人で働くことに興味がある人に向けて
4大税理士法人で働くことに興味がある人は、『どの税理士法人がいいのか、もっと詳しく知りたい!』という人も、少なくないかもしれません。
そこで、以下のnoteを執筆しました。
正直なところ、ブログのように無料で誰でも見れると、以下のような弊害があります。
・書きたいぶっちゃけ話が書けない
・根拠のない批判や荒らしがある
・4大税理士法人で働くことに興味ある人が知りたいコアな部分が書けない
「もっと詳しく知りたい」「正直なところ、どうなの?」という人向けの情報のため、1回のランチ代くらいの値段設定にしています。
本気で4大税理士法人に興味がある人は、ぜひチェックしてみてくださいね。
区分②:大手又は準大手の税理士法人
上記のBig 4の次に規模が大きいのが、大手又は準大手の税理士法人です。
これらは特に決まった呼び方はされていませんが、「独立系大手」「日系大手」や「準大手」と言えば、これらの税理士法人を指すことが一般的です。
この中でも、規模で比較すると大きくは2つに分かれています。
ここでは「大手」と「準大手」に分けて紹介していきますね。
大手税理士法人
大手の税理士法人は、現在では主に以下の2社になります。
・ 辻・本郷税理士法人
・ 税理士法人山田&パートナーズ
これらの特徴は、従業員数が「準大手」に比べて圧倒的に多いことです。
さらに、以下のような特徴を持つことからも「準大手」と区別して表現されることが多いです。
Big 4以外のグローバル会計事務所のメンバーファーム
この2社は、Big4税理士法人と同様に、海外の大手会計事務所をパートナーシップ契約を結んでいます。
それぞれ、以下の通りです。
【辻・本郷税理士法人】 2012年に世界第6位の会計事務所グループであるBDOグループに加盟(その後脱退)
【税理士法人山田&パートナーズ】 2018年7月に世界第5位のGrant Thornton International(グラントソントン・インターナショナル)に加盟
海外にも支社又は支店、提携先がある
これら2社は、海外にも拠点または提携先があります。
【辻・本郷税理士法人】は、ASEANではカンボジア・タイ・ミャンマーに、アメリカではロサンゼルスとハワイに拠点を有しています。
【税理士法人山田&パートナーズ】は、シンガポール、中国上海、ベトナムハノイ、アメリカロサンゼルス・ニューヨークに拠点を有しています。
4大税理士法人との違いは、その範囲です。
上記の通り、海外ネットワークが一部の国だけなので、超大手企業や外資系企業となると難しいかも、、、
一方で、ベンチャー企業や多くの上場企業、富裕層向けには十分対応OKなので、「英語で仕事してみたい!」「いつかは海外も!」という人にはおすすめです。
広くグローバル展開している企業というよりは、中小規模の上場企業や非上場である程度規模の大きな企業が主なターゲットと言えます。
また、各国で業務提携している別の会計事務所はあるはずなので、十分”国際感”を実感できる職場だと思いますよ。
準大手税理士法人
準大手の税理士法人は、具体的な定義や基準はありません。
一般的に、その規模や事業展開している地域の広さから、主に以下が挙げられると思います。
・ 太陽グラントソントン税理士法人
・ BDO税理士法人
・ 税理士法人AGS/AGSコンサルティング
・ 青山綜合会計事務所
・ 税理士法人レガシィ
・ アクタス税理士法人
・ 税理士法人高野総合会計事務所
・ TOMA税理士法人/TOMAコンサルタンツグループ
・ 東京共同会計事務所 など
この規模になると、Big4や大手税理士法人と比べて、明らかな違いが出てきます。
売上規模や従業員数は、例えば最初の2つ「太陽グラントソントン税理士法人」「BDO税理士法人」。
これらは、4大税理士法人よりは小さいものの、グローバル会計事務所グループの日本のメンバーファームです。
「税理士法人AGS/AGSコンサルティング」や「青山綜合会計事務所」は、独自に一部の海外地域にネットワークを有しています。
「税理士法人レガシィ」や「東京共同会計事務所」は、それぞれ主に相続専門、SPC等を利用した資産流動化に強みを持った税理士法人です。
この規模になると、各々で個性や特徴・強みを持った事務所が増えてきますね。
区分③:その他の税理士法人
さいごに、その他の税理士法人について紹介します。
税理士法人は4,000以上ある
令和元年8月末時点で、大小それぞれ4,000を超える税理士法人があります。
会名 | 登録者数 | 税理士法人届出数 | |
---|---|---|---|
主たる事務所 | 従たる事務所 | ||
東京 | 23,268 | 1,261 | 445 |
東京地方 | 4,941 | 213 | 149 |
千葉県 | 2,525 | 105 | 80 |
関東信越 | 7,415 | 418 | 234 |
近畿 | 14,937 | 706 | 314 |
北海道 | 1,850 | 157 | 92 |
東北 | 2,482 | 137 | 97 |
名古屋 | 4,670 | 279 | 147 |
東海 | 4,353 | 226 | 136 |
北陸 | 1,416 | 99 | 50 |
中国 | 3,144 | 145 | 97 |
四国 | 1,638 | 89 | 49 |
九州北部 | 3,317 | 167 | 131 |
南九州 | 2,197 | 104 | 62 |
沖縄 | 437 | 27 | 28 |
計 | 78,590 | 4,133 | 2,111 |
かなり多いですよね。
一般的に名前が知られている大手税理士法人とは、比べられないほどの数の税理士法人が存在しています。
その他の税理士法人のイメージ
規模の小さな税理士法人は、一般的な『中小零細企業』をイメージするのがいいかもです。
大きな組織特融の煩わしさがないなどのメリットがある一方で、社長(税理士法人では代表社員)の性格やスタイルによって合う合わないといったデメリットもあります。
また、一般的な情報が少ないという特徴も。ホームページや口コミだけでは、分からないことがたくさんあると思います。
就職を検討するときは、”税理士業界に強い”転職エージェントを使って、しっかりと事前調査するのがおすすめですよ。
▼おすすめの『税理士業界に強い』転職エージェントは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
一般的に公表された情報が少ない税理士業界だからこそ、しっかりとエージェントを利用するのがポイントですよ。
まとめ
税理士業界は、大きく3つの区分に分かれていて、強み・特徴に違いがあります。
もちろん、そこで働く人たちの「働き方」「収入」なども大きく変わってきています。
例えば、以下の記事にまとめているように、「税理士法人などで働きながら年収1,000万円を達成する」なんてことも可能です。
もし転職に興味があったら、就職・転職する際には、それぞれの業務の内容や特徴を、事前にしっかり把握しておくことが大切です。
そうしないと、入社してから「イメージと全く違った!」なんてこともあるかもしれません、、、
税理士業界での転職でおすすめの転職エージェントは、こちらの記事「【実体験】税務・経理に強い転職サイト・エージェント紹介と比較まとめ」で詳しくまとめています。
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今回は以上です。ありがとうございました。
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