4大税理士法人で働くことに興味がある人
Big 4(四大)税理士法人に興味あるけど、大手の一般企業と違ってあまり情報がありません。実際どういった基準で、どういった人が採用されているの?
こんな悩みを解決します。
✓この記事の想定読者
・4大税理士法人に興味がある人
・税理士業界で転職を考えている人
・大手税理士法人の採用基準を知りたい人
こんにちは、元4大税理士法人で働いていた、税理士のまぐすです。
本記事では、Big 4(四大)税理士法人の実際のところの採用基準の特徴を厳選して3つご紹介します。
✓本記事の信頼性
この記事を書いている僕は、実際にBig 4(四大)税理士法人で働いていました。それだけでなく、採用担当マネージャーでもありました。
リクルート活動を担当していたこともあるので、実際のBig 4(四大)税理士法人の採用の目線が分かります。
早速結論ですが、4大税理士法人の採用基準の特徴は、以下の通りです。
特徴①:人事部などではなく個々のパートナー次第
特徴②:学歴より試験・仕事に対する「やる気」
特徴③:エントリーする時期が重要
本記事では、上記を深堀りして具体的に解説していきます。
この記事を読み終えると、臆病になることなく、適切なタイミングでBig 4(四大)税理士法人に挑戦することができます。
とはいえ、「でも4大税理士法人・Big4税理士法人ってよくわからないんだよな、、、」という人は、こちらの記事を先に読んでみてくださいね。
また最後に、参考としてより具体的なポイントをお伝えします。こちらはどこの募集要項にも記載されていない情報だと思います。
それでは、紹介していきますね。
📓もくじ
特徴①:人事部ではなくパートナー次第で決まる
まずは、一般企業と比べて各パートナーの権限が異常に高いという点を紹介していきます。
採用権限者は、各部署の担当パートナー
一般の企業であれば、どこかの段階では必ず人事部が採用権限を持っています。
ですが、実はBig 4税理士法人では、採用の権限を持っているのは各部署の担当パートナーです。
正直なところ、人事部はほとんど権限を持っていません。
一般企業などでは、回数や順番に違いはありますが、通常は以下のようなステップで採用プロセスが進みます。
各担当者が各々に採点を下して、徐々に次のステップに進んでいくと思います。
プロセス①:現場担当者(課長や課長代理クラス、マネージャーなど)
プロセス②:現場責任者(部長やシニアマネージャーなど)
プロセス③:役員(執行役員やパートナークラス)
プロセス④:人事部
とはいえ、実は、Big 4税理士法人では、書類審査が通ればたいていの場合は各部署の採用担当パートナーのところまで進みます。
現在は特に、売り手市場ですからね!
配属先は内定を出したパートナーの部署
なお、内定を出すのもそのパートナーです。つまり、採用されたらそのパートナーの部下になるということです。
そのパートナーがあなたの昇進やボーナス、評価などを決定することになりますし、その人がもし活躍できなかったとしたら、そのパートナーがその損失を負担することになります。
そのパートナーが責任を持つことになるため、人事権もそれぞれのパートナーに委ねられてるんですね。
税理士法人は、一般の株式会社とは違って「合名会社」(厳密には、合名会社に準ずる特別法人)であるため、基本的には【パートナー=役員=株主】となります。
そのため、自分の部署やチームの給料や臨時ボーナスは、そのパートナーの負担となります。
パートナー以外の面接は「ネガティブチェック」
そのため、それ以外の面接の目的は『あくまでネガティブチェック』です。なので、それほど臆病になる必要はありません。
また、例えば人事部とかに媚を売ったとしても、そのあとの役員面接次第でいくらでも落とされてしまうので、油断は禁物ですよ。
とはいえ、各社の稼ぎ頭とされる「エリート集団」の部署は、少し違います。
やはり、自頭の良さや過去のバックグラウンドなどを真剣にヒアリングして、厳格に判断します。
そのため、「たいして準備しなくて大丈夫だよ!」というわけではないので気を付けてくださいね。
配属先は、各部署の担当パートナーが興味を持ったかどうかで決まる
一般の大手企業の新卒の採用であれば、採用が決まってから人事部が人の割り振りを決めたりします。
そのため、入社直前または直後になって配属先がわかるといったケースが多くあります。
また、転職にあたってはそもそも興味のある部署へ応募したり、面接のどこかのタイミングで興味がある部署を事前に聞かれたりと、入社前に配属先が分かっているケースがほとんどかと思います。
ですが、Big 4税理士法人では違います。
以下のような特徴があります。
・自分が興味のある部署に入れるかどうかは分からない
・配属先はオークション形式で決まる
もちろん、履歴書への記載や面接の際に聞かれたりするので、事前に自分が興味のある部署は伝えることはできます。
ですが、実際にその部署に入れるとは限りません。
大抵の場合、内定の連絡をもらったときに配属先を知らされることになります。
なぜこのように配属先が決められるかというと、Big 4税理士法人では基本的にオークション形式でその人の配属先が決まるからです。
エントリーの際に提出した履歴書は、一度人事部でスクリーニング(チェック)にかけられます。
人事部で振るいにかけられた後で、各部署のパートナーにアナウンス(履歴書の配布)されます。
その履歴書を見て興味があったパートナーのみ、その応募者と面接することになります。
その面接は、各部署で2名程度(パートナー2名や、パートナーとマネージャーの2名など)で、もし多くの部署から興味を持たれた場合には、4名以上が面接官となることもあります。
そして、最終的にオファー(内定)を出した部署(複数あるときはあなたが希望した部署)に配属されるのです。
人事部の権限は一般企業に比べてほぼない
Big 4税理士法人では、採用に関して人事部の権限はほとんどありません。
もちろん、一番最初のスクリーニング(書類審査)は基本的に人事部が担当するのですが、近年は圧倒的な売り手市場であるため、よほどの理由がない限りは「人事部でバンバン落とす」ことはないと思います。
Big4税理士法人の人事部の役割は、基本的には給与や勤務状況などの労務関係の管理です。
なぜ人事部にそれほど採用の人事権がないかというと、繰り返しですが、その人の給料や活躍するかどうかは、採用したパートナーの責任だからです。
一般の企業であれば、給料やボーナスは人事部や役員(取締役会など)が決めることになります。
ですが、Big 4税理士法人の場合には、各部署のパートナーに紐づけられているため、人事部がそれほど採用に関与することはないのです。
特徴②:学歴より試験・仕事に対する「やる気」
次に、採用にあたっては学歴よりも「仕事に対するやる気」や「試験勉強をどれだけ順調に合格できたか」にフォーカスされているということを説明していきます。
Big4税理士法人に限らずこの業界としての部分も含まれますが、以下のような特徴があります。
税理士業界の学歴に関する特徴
税理士業界にいる人は、大手の一般企業と比べて以下のような学歴の特徴があります。
・そもそも東大や京大、早慶のような高学歴が少ない
・パートナー自身もみんなが決して超高学歴というわけではない
・仕事がタフなので、変にプライドが高いと扱いにくい
税理士試験の合格までの期間は、平均で8年ともいわれており、1年で終わる(5科目に合格する)人はいないと言われています。
そのため、せっかく高学歴なのに時間と合格しないリスクを負って挑戦する人が少ないのです。
Big4税理士法人のパートナーでも、MARCHレベルの人もいますし、場合によっては最終学歴が高卒の人もいます。
昔は税理士試験の受験資格ももっと優しかったといいった背景もありますが。
また、申告時期などは忙しくなるため、変に高学歴でプライドが高いと扱いにくいといった点も挙げられるようです。
大切なのは「やる気」と「試験の合格までのスピード」
最近は、圧倒的売り手市場であるためBig4税理士法人も採用基準を落としています。
そのため、必ずしも公認会計士や税理士の試験に合格している必要はないし、場合によっては全く会計や税務の知識がない人でも採用するケースもあるようです。
要は、「やる気が重要」ということです。
採用するパートナーとしては、その人がどういった特徴があるのかや、そもそも「扱いやすい人材か」は、雇ってみなければわかりません。
そのため、採用の段階では「やる気があるかどうか」を重視してみています。
また、「やる気」の有無を図る一つの指標として、「試験の合格までのスピード」を重視しています。
公認会計士や税理士の試験は、言わずもがな難関国家資格です。
そういった試験に、短期集中で取り組むことができ、結果まで出している人はとても重宝されます。この業界に強い興味を持っている、タフな環境でも頑張ることができるといった判断がされるからです。
「どんな人がBig 4税理士法人に向いているか」については、こちらの記事で詳しく解説しているので、併せて確認してみてくださいね。
特徴③:エントリーする時期が重要
最後に、エントリーする時期についてお伝えします。
それはずばり、9月~12月入社です。
もちろん、1年間通して募集はしていることが多いですが、Big4税理士法人は1月~5月頃が特に繁忙期であるため、その準備(アサインを決めたりとか)に差し掛かる9月~12月頃に入社を希望する人は採用されやすい傾向にあります。
この時期は、一年の中でも特にパートナーが採用意欲を持っている時期と言えるのです。
そうすると、必然的にエントリーする時期は5~10月頃が目途ということになります。
こちらの記事『【税理士業界】転職しやすい時期と成功のコツ【現役採用担当者が解説】』で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
まとめ【おまけ付き】
以上のように、Big4税理士法人の採用基準の主な特徴を3つご紹介してきました。
こういった特徴を把握しておくと、これまで「面接って苦手だな、、、」と思ってた人も、かなり気持ちが楽になるのではないかと思います。
なお、転職4回とも成功させてきた僕が考える「面接で緊張しない方法」「面接の攻略法」については、こちらの記事に詳しくまとめていますので、併せて確認してみてくださいね。
「とはいえ、4大税理士法人それぞれの違いが分からないよ、、、どこが自分には合ってるのかな?」そう思う人もいると思います。そんな人に向けて、こちらのnoteを用意しました。裏話も含めて4大税理士法人それぞれの特徴や違いをガッツリ紹介しています。
▼4大税理士法人それぞれの特徴や違いを、裏話を含めて紹介したnote
また、もしBig4税理士法人への転職に興味がわいた人、かならず転職エージェントを活用するのがおすすめです。
上記で説明した通り、権限は基本的にパートナーがもっています。
税理士業界に強い転職エージェントには、4大税理士法人のパートナーとコネクションを持っている人も多いため、給与やポジションなどの待遇面でも交渉がし易いです。(実際、僕の周りも、そうして高待遇で転職してきた人が多かったです。)
おすすめの転職サイトをこちらの記事で詳しく紹介しています。併せて確認してみてくださいね。
上記以外に、ありがちな傾向をおまけとして共有しておきます。
- 若さは武器です。もちろん若くなければ採用されないというわけではありませんが、タフな仕事にも果敢に挑戦してくれるといったイメージがあります。
- 見た目も武器です。Big4税理士法人はプライドが高いこともあって、大手弁護士法人などと同様に見た目にこだわっている部分があります。特に女性に関しては、見た目に少しでも自信があれば挑戦すべきです。
- マネジメントスキルはほとんど求められません。もちろん案件のマネジメントやクライアントとの関係性は高いレベルで求められますが、部下のマネジメントスキルはほぼ求められません。離職率も高いので、引き留めなどに強くこだわっていても効果がないと思っているのかもしれません。
今回は以上です。ありがとうございました。