受験生や業界初心者へ

税理士が解説!税理士法人・事務所への就職・転職14の悩み・疑問

税理士・公認会計士

 

・税理士法人で働くってどんな感じ?
・税理士事務所に転職したいけど誰に聞けばいいの?
・周りに税理士事務所で働いてる友達がいない…

 

こんな悩みにお答えするため、税理士法人・税理士事務所で働くこと・転職することにまつわる15つの悩み・疑問にお答えします

公認会計士や税理士の業界は、専門性が高く少し閉ざされたイメージがあります。そのためか、働く環境や条件についてもあまり情報がないのが実態だと思います。
(僕自身が就職・転職するときにそうでした)

 

ここで答える14の悩み・疑問を読めば、税理士法人・税理士事務所の実態が把握でき、働く前にすっきりしておくべき大切な悩みを解決できますよ。

 

なぜなら、税理士としてこんな経験のある僕が実際に疑問に思い、悩んでいたポイントだからです。

まぐす
まぐす
まぐすです。

 

これまでの自分の実績は…

  • ・国内外で税理士として勤務
  • ・Big 4 税理士法人や総合系コンサルティングファームで勤務
  • ・他のBig 4税理士法人からヘッドハンティングのオファー、内情を細かにヒアリング
  • ・国内の大手税理士法人で勤務
  • ・総合商社と金融機関で、多くの税理士または税理士事務所を利用

 

自分の周りの環境は…

  • ・事務所同士の横のつながり
  • ・独立開業した多くの仲間たち
  • ・今も国内外の税理士業界でも仕事”

僕が実際に悩んだポイントや、相談を受けた項目を厳選して記事にしたので、じっくり読み込んでください。

 

質問は、大きく3つのカテゴリーに分けて解説します。

・採用に関する悩み・疑問
・お金に関する悩み・疑問
・仕事や働き方・その後のキャリアに関する悩み・疑問

※皆さんと共有したい良い質問があれば、適宜更新していきますね。

 

採用に関する悩み・疑問

まずは、就職や転職で合格できるか、採用に関する悩みや疑問にお答えします。

① これから税理士試験を勉強しようと思ってるのですが、就職出来ますか?

もちろん可能です。

上記でも説明した通り、現在の公認会計士、税理士業界は、受験希望者が少なくなっていることなどを理由に、完全売り手市場といえます。

そのため、多くの税理士法人、税理士事務所が応募要件のハードルを大幅に下げています。

したがって、これまでは税理士資格や科目合格されてなければ入社できなかったようなところに入るチャンスがあります。

ただし、ここで注意点が2つあります。

注意点 ①

特に、中小規模の税理士事務所に多いのですが、資格や合格科目がない人は、持っている人に比べて給料が安いケースがあります。また、資格や合格科目のある人の方が上のポジションに立ちやすい・出世しやすいなどのケースも見られます。その点は、勉強させてもらっている立場と言うことで受け入れなければならないかもしれません。

ただしその一方で、早く帰りやすかったり休暇を取得しやすかったりするので、その点はメリットがあるでしょう。

注意点 ②

また、公認会計士業界も税理士業界も、高いスキルや知識を求められる専門業務であることから、単に資格を持っていると言う事実だけで入社できるものではありません。

常に勉強をし続けなければいけない業界なので、その意味では資格があるなしに関わらず、継続して勉強は必要になりますよ。

 

② 他の業種や一般企業からでも転職できますか?

もちろん可能ですし、そういった人はたくさんいますよ。

他の業種や一般企業からでも、全く問題ありません。また、職種についても、それらの企業の経理でなければいけないと言う事は全くなく、営業出身の方や他の管理系の職種の方も非常に多いです。

なぜそういった他の業種や一般企業からでも入社できるかと言うと、税理士のクライアントは多種多様の一般企業となるので、それらの企業の業種業界に詳しい人は重宝されるのです。

例えば、金融や製薬業界など複雑な業種業界の出身者は、そういった業界を専門とする部署や、そういった業界の顧客を有している税理士事務所からすれば、希少価値が非常に高い人材なので、より好条件で採用される可能性すらあります。

 

③ 一般事業会社の経理からでも入社できますか?

全く問題ありません。

一般事業会社の経理を担当されていた方が税理士事務所に転職されるケースは、非常に多いです。

そういった方々は、税務申告のための基礎資料が社内でどのように作成されているかや、社内でどういった資料が準備されているかなどを把握しているため、税理士事務所の立場になっても、クライアントと良い関係性が作りやすいです。

また、例えば経理処理に関する社内ルールをいきなり変更することの難しさなど実務的な難しさなども理解していることから、税務調査の現場等においても、クライアントの立場に立って信憑性と説得力のある交渉ができると思います。

ただし、あえて条件を付けるどうすれば、今後は対峙する人をちゃんとクライアントとして接することができるかどうかです。

経理で働いていると、基本的には社内の人と対峙することになるので、多少わがままを言えたり、無理なお願いをすることもあったと思います。ですが、今後は対峙する人が自分のクライアントとなるので、むしろ相手のわがままや無理なお願いを聞いてあげる立場になります。その点を十分に理解する必要があると思います。

 

④ 科目合格でも就職できますか?

今の売り手市場なら全く問題ありません。

・税理士や公認会計士に興味ある人
・これから勉強しようと思っている人
・少し勉強し始めたけどまだ合格していない人
・日商簿記しか持っていない人
・科目合格の人

様々な人がいると思いますが、今の売り手市場においてはどの人も可能性は十分にあります。

もっとも、税理士資格を持っている人や科目合格の人が入りやすいのは間違いありませんし、昔はだいたい3科目以上合格していないと応募要件を満たすことができませんでした。

しかし、税理士の受験者数が年々減少するのとともに、転職市場が圧倒的に売り手市場になっている今、Big 4税理士法人の応募要件からもわかるように、どの税理士事務所・税理士法人も応募要件を圧倒的に下げています。

税理士業界が売り手市場である理由については、こちらの記事も確認してくださいね。

【未経験者必見】実は簡単!監査法人・税理士法人に就職するのが難しくない理由3選【裏技あり】 こんな疑問にお答えします。 ✓この記事の想定読者 ・監査法人や税理士法人への就職を考えている人 ・これから...

 

 

⑤ 公認会計士でも就職できますか?

できます。むしろ事務所によっては重宝されます。

公認会計士でも税理士事務所で活躍することができます。特に、Big4税理士法人や大手税理士法人など、上場企業などの大企業をクライアントに持つ税理士法人は特に強い興味を持つと思います。

 

公認会計士は、監査業務等で膨大なデータを分析したり処理したりすることをを経験しているため、そのデータ処理能力やパソコンスキルは税理士法人でも特に重宝されます。

 

また、税務における基礎資料となる会計情報(帳簿や事業計画書など)も、税理士よりも会計士の方が比較的慣れているため、税理士にはないその幅広い知識と経験が、Big 4税理士法人や大手税理士法人では生かせる場が広がっているといえます。

また最近では、IPOや事業承継など、税務分野を超えたサービスを提供している税理士事務所も増えてきました。そういったところでは、より公認会計士の知識や人材が求められています。

 

⑥ 簿記の知識や経理の経験がないけれど、就職できますか?

十分に可能性はあります。

もしあなたが20代〜30代であれば、熱意さえあれば十分に可能性があります。

また、もし40代〜50代であっても、ポジションや年収に強いこだわりを持たなければ、十分に可能性があります。

 

その場合には、税理士事務所としてはあなたのこれまでの経験や特定の業種・業界に対する知見を活用して営業活動に生かしたいと考える場合も多いので、そういった強みがあればなおさら可能性は高まります。

 

⑦ 個人事務所からでも大手税理士法人に転職できますか?

できます。

税理士試験を受けているときには、それほど忙しくない個人事務所で働いて、税理士事務所に合格した後に大手税理士法人へ移るケースは、非常に多くあります。

したがって、例えばBig 4税理士法人にも、元々は個人事務所で働いていたという人もたくさんいます。

 

⑧ 今の事務所はまだ1年ぐらいですが、転職できますか?

できます。

今の税理士事務所や税理士法人に入社してまだ1年未満だとしても、十分に転職できる可能性はあります。

なぜなら、公認会計士・税理士業界というのは非常に人材の流動性が高く、転職が一般的だからです。

特に、大手の税理士法人などの場合には1年目で辞めてしまうケースも多いことから、その点は殆ど影響しません。

 

ただし、誰が聞いてもあなたを信頼できなくなるような転職理由でなければです。早期に転職する場合には十分にその理由も考えておきましょう。

 

お金に関する悩み・疑問

次に、就職や転職する際に気になるであろうお金に関する悩みや疑問にお答えします。

 

⑨ 税理士法人や税理士事務所の年収はいくらくらいですか?

こちらの記事にまとめました。こちらをご覧くださいね。

[blogcard url=”https://tenshoku-roadmap.com/%e3%80%90%e5%b9%b4%e5%8f%8e%e3%80%91%e7%a8%8e%e7%90%86%e5%a3%ab%e6%b3%95%e4%ba%ba%e3%83%bb%e4%ba%8b%e5%8b%99%e6%89%80%e3%81%ae%e7%b5%a6%e6%96%99%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%81%a9%e3%81%ae%e3%81%8f%e3%82%89/″]

 

⑩ 資格を取れば年収は上がりますか?

事務所によりますが、大手だと年収は殆ど変わりません。

税理士資格を持っておらず、入社後に資格を取得したとしても、年収が上がる税理士法人や税理士事務所は多くないです。なぜなら、厭くまで経験値やスキルを評価して採用されるからです。

ただし、年収が上がるケースとして次の2つのケースはあります。

① 役員になる

税理士法人の場合、役員になるのであれば税理士または公認会計士の資格を求める法人が多くあります。そのため、資格を持っていれば、持っていない人に比べて目指すゴール・年収がより高まります。

② 合格祝いをもらえる

税理士事務所や税理士法人によっては、税理士資格を獲得したことで、合格祝いとして臨時ボーナスがもらえることもあります。ただしこれは、その一回の支給だけなので、基本給与が上がるわけではないことに注意が必要です。

 

⑪ 公認会計士や税理士業界の福利厚生について教えてください。

大手の一般事業企業に比べて、あまり良くありません。

超大手の日系企業などと比べて、福利厚生はあまり十分とは言えないと思います。なぜなら、税理士法人や税理士事務所は、その規模は一般企業における中小企業くらいだからです。

例えば、最大手であるBig 4税理士法人でも、その人数は500〜600人程度です。一般的には、100人を超えてくれば大手と呼ばれるくらいです。

特に、家賃補助や社宅が支給されるところは、まずないと考えておいた方がいいでしょう。

 

仕事や働き方・その後のキャリアに関する悩み・疑問

さいごに、仕事や働き方、そして税理士事務所・法人で働いた人のその後のキャリアに関する悩みや疑問についておこたえしていきます。

 

⑫ 英語を使う仕事はありますか?

一部の税理士法人や部署を除いてほとんどないと思います。

税理士は税務、つまり日本の知恵に関する法律の専門家です。したがって税理士業において英語を使うケースというのは2つに分けられます。

①  顧客が外国企業

②  資料が英語

この2つのうちいずれかです。

 

したがって、税理士が英語を使うサービスを提供するケースというのは大きくは以下の4つのケースに分けられます。

①  顧客が外資系企業またはその子会社
②  顧客がグローバル展開している超大手企業
③  海外にも子会社を有する上場企業や中堅企業
④  顧客が日本に駐在している外国人

したがって、大手の税理士事務所や移転価格等の国際税務を専門にやっている税理士事務所以外では、英語を使う機会は少ないといえます。

以下、それぞれについて説明していきます。

 

①  顧客が外資系企業またはその子会社

顧客が外資系企業やその子会社である場合には、社内の管理資料を海外の本社が管理・まとめていたりするケースがあります。

また、基本的に資料や契約書が英語であることから英語を読む機会や、場合によっては本社の人と英語でやり取りするケースもあります。

 

②  顧客がグローバル展開している超大手企業

顧客がトヨタやメガバンク、総合商社のように超巨大なグローバル企業である場合には、社内資料が英語である場合だけでなく、他の国の税制や経済をリサーチしなければならないケースもあります。そういったケースでは、頻繁に英語を使う機会があります。

また、タックスヘイブン税制や移転価格税制など、国際税務を取り扱うことも増えてきます。

 

③  海外にも子会社を有する上場企業や中堅企業

上場企業の中には、グローバル展開している超大手企業とまでは言えないものの、海外にも進出している企業がたくさんあります。そういった場合にも、その子会社の現地国での関連する制度を調べたりすることもあるので、英語を使う機会はあるでしょう。

ただし、基本的には現地に駐在している日本人とのやりとりが多くなることから、英語を使う機会はそれほどないかもしれません。

 

④  顧客が日本に駐在している外国人

その他、個人の確定申告業務において、日本に駐在している外国人を顧客に持った場合には、その外国人とのやりとりが必要となるため、英語を使う機会があるといえます。

ただしこれも、その外国人の働いている会社の海外本社が契約しているBig 4税理士法人等を利用することが多いため、こういった機会も限定的だと思われます。

 

⑬ 試験休暇はもらえますか?

もらえるところが大半です。

 

税理士試験は毎年8月の第一火曜日から三日間行われますが、基本的にこの時期は閑散期になるので、7月に試験休暇を与えてくれる事務所が多くあります。

また、もし試験休暇制度がないとしても、その直に有給休暇を利用して長期間お休みをもらえる文化がある事務所も多いです。

その点は、各企業の福利厚生の欄などに記載されていることが多いので、事前に確認してみましょう。

 

なお、一般的には、法人税や所得税の申告業務を主に行っている部署や事務所は、休暇が取りやすい傾向にあります。なぜなら、所得税の申告期限は毎年3月15日、法人税の申告期限は12月または3月決算の会社が多い日本では3月から5月位にかけてが期限になることが多いため、その直前2〜3ヶ月が繁忙期されます。したがって、7月あたりはあまり忙しくないため、休暇も取りやすいと言うわけです。

一方で、毎月の月次決算などを行っている税理士事務所についてはマンパワーに余裕もない事務所も多いことから、あまり長期間の休暇取得を期待できないかもしれません。しっかりと事前確認すべきだと思います。

 

⑭ 税理士事務所から事業会社の経理に転職できますか?

できます。むしろ需要が高まっています。

 

弁護士や公認会計士も同じですが、最近は企業内税理士がとても増えています。

昨今の働き方改革の推進や残業時間の削減等により、これまであまり転職者を雇っていなかった一般企業においても、税理士法人や税理士事務所で経験を積んだ人材を積極的に採用するようになってきました。

 

その理由は、税制の複雑化が進む一方で、数年単位で異動があることから内部での人材育成が追いついてないことが挙げられます。

さいごに

そもそも若手税理士が少ないため、税理士業界で働くことに関する情報は本当に少ないと思います。

これらの悩みや疑問を解消して、今の自分の状況や環境に照らして1番良い事務所を選んでくれたらと思います。

この記事を読み終えたら、ひとまず転職エージェントに登録しておきましょう。企業情報がメールで届いたり、無料で転職の相談ができます。いずれも5分ほどで登録できますよ。

僕がおすすめする記事は、こちらの記事にまとめています。必ず合わせて確認してみてくださいね。

【実体験】税務・経理に強い転職サイト・エージェント紹介と比較まとめ こんな疑問にお答えします。 ✓この記事の想定読者 ・公認会計士や税理士、税理士科目合格者や経理で働いている人 ...
おすすめ関連記事