税理士業界での将来やキャリアに悩んでる人
『税理士業界でのキャリアに悩んでるんだけど、どんな税理士事務所がいいのかな。大手の税理士法人や個人事務所などの中小の会計事務所。大手の方が給料が良いけど忙しいとか、中小の方が独立しやすいとか聞くけど、、、税理士事務所を選ぶポイントがあれば知りたいな。』
こんな悩みにお答えします。
✔この記事の想定読者
・税理士業界での就職、転職に悩んでいる人
・税理士業界での将来やキャリアが不安な人
・税理士業界での経験を強みにキャリアを考えている人
こんにちは、税理士のまぐすです。
この記事では、税理士業界での将来に悩んでいる人に向けて「将来やキャリアで迷った際に選ぶべき税理士事務所」と言うテーマで紹介します。
✔この記事の信頼性
この記事を書いている僕は、元4大税理士税理士法人で働いていました。
また、採用担当マネージャーも担当していたため、様々な税理士業界の事務所の働き方や労働環境についてリサーチしていました。
詳しいキャリアについては、こちらのプロフィールをご覧くださいね。
税理士資格を持っているかどうかにかかわらず、税理士業界では、どんなところで働くかによって、その後のキャリアに大きな違いが生まれます。
この記事を読めば、税理士事務所選びで悩んでいる人が、今後のキャリアのためにどういった会計事務所で働くべきかが分かります。
この記事が、将来のキャリアを見直すきっかけになってくれたらうれしいです。
それでは、解説していきます。
📓もくじ
将来やキャリアが不安な人が選ぶべき税理士事務所とは

さっそく結論、「20代から40代位なら、大手の税理士法人を狙うべき」です。
【結論】基本的には大手がおすすめ
令和2年3月末日現在、開業税理士は約5万6,000人いるとされています。
それだけ多くの税理士事務所・税理士法人があるということ。

出展:国税庁ホームページ
その中には、Big4と呼ばれるグローバルな会計事務所や、少人数でも専門性の高い特化型事務所、何十年も続く個人の会計事務所など、多種多様にあります。
ですが、一般的には大手を狙うのがおすすめです。
【理由】AI時代を生き抜くため
世はAI時代。
テクノロジーの進化によって、今後、多くの仕事がAIにとって変わるとされています。
税理士の象徴的な仕事である『税務申告書作成』も、その筆頭の1つに数えられてますよね。

出展:日経WOMAN「10年後になくなる仕事、残る仕事 あなたの仕事は?」
では、今後の税理士にはどういった人が求められるのか。
いろんな意見があると思いますが、その1つが、以下の通りです。
今後の税理士は、読解力で差がつきます。
こちらの本、名前くらい知っているという人、少なくないんじゃないかと思います。
2019年ビジネス書大賞を受賞した、AI時代の指南書とも言える本です。
ポイントを、今後の税理士業界に当てはめると、以下の通りです。
・AIが取って変わる仕事は「単純作業」
・AIは読解力では人間に勝てない
そのため、「これからも税理士業界で頑張るんだ」「これから税理士業界にチャレンジする」と言う人には、出来る限り単純作業の多い会計事務所を避け、条文読解力を磨く方がおすすめ。
AI時代を戦う戦闘力が上がると思いますよ。
こちらの記事で、より詳しく紹介しているので、「AI時代、、、心配」という人は、ぜひ併せてチェックしてみてくださいね。
具体的に、どんな仕事がおすすめかについても紹介していますよ。

『条文を読める人』は少ない
今はインターネットの普及により、誰でも・いつでも・どんな情報にもアクセス可能。
分からないことがあれば、ググれば大抵すぐ解決できます。
だからこそ、会計事務所で働いている人・税理士資格がある人でも、条文をしっかり読める人材は少ないです。
例えば、次の質問を少し考えてみてください。
質問①:『控除』と『差し引く』の違いは?
質問②:『措令39の15①二』は、正しくは何て読む?
実は難しい質問じゃありません。
質問①は『マイナスがあるかどうか』。
質問②は、こういった記載は税理士試験の勉強や、税金関係の書籍でよく見かけますよね。『租税特別措置法施行令 第39条の15第1項第2号』です。
ただ、税理士の中にも「分からない」という人が少なくない印象。
個人的には、(僕もまだまだ勉強中の身ですが)大手の税理士法人でも、ネットでググった税理士ブログを鵜呑みにしてる人、すごく多いと思います。
すると、前提条件の違いによる結論の違いにも気がつかない。
しっかり条文が読めること、これも一つのスキルですよ。
条文が読めないと、キャリアはハードモード
そう思う人もいるかもしれません。
でも、条文が読めないと、これからの税理士業界でのキャリアはハードモードになっていきます。
理由は、次の通りです。
✔条文が読めないとハードモードになる理由
理由①:税制がもっと複雑になっていく
理由②:ライバルが増える
理由③:クラウド会計ソフトも普及
理由①は、税理士業界の人じゃなくても、わかる人は多いと思います。
企業のグローバル化や、取引の複雑化に伴い、税制もどんどん複雑になってきています。
さらに理由②。
『条文を読まず、ググって解決』『単純な作業』だけになると、どんどんライバルが増えていきます。
せっかく資格・会計事務所での経験があっても、公認会計士や新卒生え抜きの新人、税金を知らない一般企業の優秀な人たちと、キャリアやポジションを奪い合うことになります。
それに、すでにテクノロジーが人の仕事を奪い始めている事実が、理由③。
CMや広告でも、クラウド会計ソフトはよく見かけるようになりましたよね。
企業や個人事業主だけでなく、一般のビジネスパーソンや主婦にも普及してきています。
こちらの記事でも、税理士向けに「人間にしかできない仕事」を進めています。
上記の「AI時代」からすれば、「読解力」や「判断力」を求められる仕事ですね。
「皆さんの仕事を2つに分けてみてください。機械や人工知能(AI)でもできる仕事。人間にしかできない仕事。前者だけの場合、大至急、新事業を始めてください」
公認会計士と税理士の資格を持つ藤田耕司氏は半年前、日本公認会計士協会東京会のセミナーで講師を務め、200人超の会計士にこう言い切った。
出展:日本経済新聞 2017/10/2 「AI時代のサムライ業(中)税理士らコンサル志向に 「人だけができる仕事」選別」
この記事を読んで下さっている人は、聡明な人が多いはず。
それに、そもそも税理士業界での将来のキャリアに真剣に向き合おうとしてるはず。
単純作業の経験・スキルはすぐに誰かに取って代わられるかも。
今後の税理士業界を生き抜くには、ハードモードかもですよね。
40代でもまだまだ若手
そう思う人もいるかもしれません。
40代でも、税理士業界ならばまだまだ若手です。
40代と言うと、一般的には管理職につく人も多いと思います。
ある程度今後の出世コースも見えてきたし、「これからは家族とゆっくり過ごしたいな」なんて思っている人も少なくないと思います。
ですが、税理士業界では、40歳はまだ若手です。
下の表は、2020年に国税庁が発表した、年齢別の税理士登録者数の表です。

出展:日本税理士会連合会「データで見る税理士のリアル」
20代から40代の税理士が、全体の28%。
つまり、40代でもまだ若手。
やりたい仕事・なりたい税理士像に向かって、これからぐいぐい上がっていけると言うことです。
「これから頑張る人」に単純作業はオススメしない
もちろん、「単純作業はダメ」と言うわけではありません。
でも、近年若手の税理士や、税務経験のある人の働き方は、多様化しています。
『士業』といえば、昔は『先生』のイメージ。
ですが、最近は働き方が多様化しています。
例えば、企業で働く税理士も増えています。
ちなみに僕のキャリアですが、20代30代の税理士のキャリアとしても、少し珍しいかもしれません。
・Big4税理士法人
・5大総合商社
・大手金融の本店
・海外で新規事業立ち上げ
これらは1つの例でしかありませんが、多様化してる事実は分かると思います。
求められるのは『作業者』ではない
とは言え、税理士であれば誰でもこういったキャリアが焼けると言うわけではないと思います。
それぞれの企業で採用担当をしていた立場からすれば、必要なのは「作業をできる人」ではありません。
求められるのは、プロとしての判断ができる人
大手企業、特に人企業人気の企業であればあるほど、優秀な人材はゴロゴロいます。
今はネット社会。
ちょっとしたことであれば、いくらでも自分で情報が掴めます。
判断の難しい事例に当たったときに、条文に照らして、合理的に判断ができる人。
こういった人が、幅広い働き方を選択できますよ。
まずは将来のキャリアを考えよう

上記の通り、AIの台頭やインターネットの普及で、これまでの多くの会計事務所の仕事は、奪われる可能性がある。
だからこそ、まずはこれからのキャリアを考えて、それに合わせて戦略を練るのがおすすめ。
・会計事務所でのし上がっていくか
・スキルを武器に一般企業でキャリアを磨くか
・スキル・経験を武器に独立するか
・スキルをつけて、クラウドソーシングで自宅で働いていくか
色んなキャリアプランが考えられます。
『大手の税理士法人では独立できない』というウソ
そういった声、一度は聞いたことあるんじゃないかと思います。
確かに、『大手⇒独立』の場合、クライアントをそのまま引き連れて独立は難しいです。
というのも、問題は『リスク許容度』です。
こちらの記事で詳しく紹介している通り、大手で働いているときのクライアントは『独立して一人で対応できる規模』ではないので、独立後に引っ張ってこれないケースがほとんどです。

ですが、条文読解力があれば十分に戦えます。大手企業をクライアントにすることも可能です。
確かに、単純な『作業者』だった場合、クライアントとしても、独立後も引き続きその人にお願いする必要はないですよね。
でも、その企業への理解や、読解力(つまり、税法知識や問題解決力)があれば、十分可能性はあります。
事実、例えばBig4から独立して戦っていらっしゃる先輩税理士はたくさんいます。
ホームページなどでは大手出身を公表していないケースもあるので、ぜひ転職エージェントなどに確認してみてくださいね。

『税金知識×〇〇』でキャリアは広がる
上記の通り、しっかりと税法を理解できるようになれば、税理士としてのキャリアは広がります。
特に、ほかの知識との掛け合わせで、さらに広がります。
『税金知識と別のスキルの掛け合わせ』で、100万人に1人の人材にだってなれるかもです。
ホリエモンこと堀江貴文さんは、こちらの著書で、以下のように語っています。
能力Aを得た後、次に、能力Bに1万時間をかけて、その能力を得る。
そうして、能力Aと能力Bを同時に持つ人物となれば、「100人に1人」×「100人に1人」で、「1万人に1人」の人材になれる。
さらに能力Cを得れば、「100万人に1人」の人材。立派なレアカード人材の出来上がりです。
出展:東洋経済ONLINE『堀江貴文「僕を含め、世の中の99%は凡人だ」天才・イチローと凡人・堀江貴文のちがい』
税理士業界は、40代以下なら28%。
あとはしっかり税法知識が身につく環境で働いて、ほかのスキルと掛け合わせれば、十分100万人に1人人材だって狙えますよ。
なお、僕がおすすめするのは『英語』です。
こちらの記事で詳しく紹介しているので、「英語にも興味がある」と言う人は、ぜひ併せてチェックしてみてくださいね。

単純作業もゼロにはならない
とはいえ、確かに単純作業に近い仕事も、全てがAIに奪われるとは考えにくいです。
クラウド会計ソフトの普及で、既存の税理士業務の1部は、需要が下がっている。
それでも、中小企業や一部の地域では、まだまだ需要はあります。
想い描く将来の税理士像に合っていれば、そういった事務所を探して、チャレンジしてみるのもあり。
ただし、その地域のその地域での授業はちゃんとリサーチしよう。
「せっかく資格を取ったんだから、ゆったり働いていきたい」「家族がいるから、あまり忙しく働きたくない」
そうした考えの人も、きっといると思います。
ですが、いま求人があるからといって、すぐに飛びつくのは危険。
将来ずっとその需要が続くか分かりませんからね。
その事務所やその地域での需要が、将来も続きそうか、事前にしっかり転職エージェントなどに相談しつつ、リサーチするのが安心ですよ。
転職では、業務内容にも注目しよう
上記の通り、基本的には大手の税理士事務所をおすすめする理由は、「しっかりと税法知識が身に付くから」です。
とは言え、「大手じゃなければ知識が身に付かない」と言うわけではなく、さらに「大手だったら必ず税法知識が身に付く」というわけでもありません。
一般的には、大手の方が税法知識が身につきやすいですが、しっかりと業務内容をリサーチしておくことが大切。
大手に入っても、やることが単純作業であれば同じことです。
求人雑誌や会社のホームページだけで判断せず、内情をしっかり把握している転職エージェントに話を聞いて、業務内容をちゃんと把握しておくことが大切です。
入ってから「想像してたのと違うな…」なんてことにならないように、注意してくださいね。

まとめ

税理士・会計事務所への転職専門のエージェント『Hupro(ヒュープロ)』。
特に、経験者のキャリアアップに繋がる求人が多いため、次のステップを目指す人におすすめ!
自動マッチングツールもあるので、まずは登録して求人情報をチェック!
さいごに、この記事のまとめです。
結論、将来やキャリアが不安なら、基本的には『大手がおすすめ』。
AI時代を生き抜くための「条文読解力を身につけるため」です。
21世紀の資本主義は、より格差が拡大すると言われている時代。
いまの仕事・いまの業務では「将来が不安」という人は、後悔しないキャリアを選択してくださいね。
とはいえ、状況や環境の違いによっても変わってくるかもしれません。
そういった人に向けて、以下の記事を用意しているので、いまの状況に合わせてチェックしてみてくださいね。
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今回は以上です。また次の記事でお会いしましょう。
ありがとうございました。
